官能のビンテージアメリカン
Vintage Ecstasy 1970 Buick GSX
マッスルカーきっての有名車、シェベルの姉妹車にして、希少マッスルを象徴するビュイックGSX。ビュイックならではのジェントルなキャラクターと、特有の455モーターによるマッシブなポテンシャルを持つマニアックなビュイック・マッスルを見てくれ!
キャラ、ポテンシャルとも突出したマニアック車
そもそも「マッスルカー」とは、中型車のセダンやクーペをベースに、フルサイズ車級の大排気量エンジンやパフォーマンスパーツを駆使してアレンジしたメーカー純正Hot Rodというアプローチがポイント。エンジン、足回り、ファイナルレシオ、フードスクープ、スポイラーなどの膨大なオプションの組み合せ次第でかなりマニアックな1台を仕立てることも可能。
シボレー・シェベルのSS同様に、ビュイックからは姉妹車のスカイラークのマッスルパッケージ、GS/GSXが存在する。カジュアルなシェベルに対して地味で落着いたイメージのスカイラークがベースながら、専用設計の455モーターやキャッチーでインパクトのあるスポイラー&グラフィックを投入することで、紳士的な格闘家にも通じる独特のキャラクターとなっている。
キャラ、ポテンシャル共に突出したマニアックな存在なだけに、出荷数も現存数も少なく、希少マッスルを象徴する存在。希少性をポイントにすると、その代表格のMoparがメジャーに思えるほどベース車のスカイラークですら目にする機会も誌面などでの露出も少ない。それだけに、オリジナルのGSXともなると、持つべき人が所有しており、市場に出回るケースは稀。
この個体はスカイラークをベースに、ルックス、ポテンシャル共に、オリジナルのGSXに仕立てたクローン。オリジナルではないものの、いわゆるロテサリーレストレーションを施し、目の届かないシャシーの隅々まで手が掛けられ、しかも、工場出荷時のマーキングまで再現した標本レベルの仕上り。そして、455ならではのホットなポテンシャルもしっかりと健在する、ある意味最も贅沢な1台!
GMの455エンジンには、メイクス毎に様々な仕様が存在するが、ビュイックの「ステージ1」は、とりわけショートストロークなうえに、クランクシャフトは重量が軽いため、7Lを優に超える大排気量エンジンらしからぬ軽快なレスポンスが得られ、実に魅力的。
ファイナルレシオが4.11の完全なマッスル仕様とあって、ちょっと深めにアクセルを踏み込めば、いとも簡単にホイールスピンするやんちゃっぷりを発揮する。
姉妹車のシェベルは万人受けするカジュアルなアプローチなのに対して、スカイラークはユーザーの対象年齢の高いビュイックらしいジェントルで落着いたイメージ。エッジを際立たせたシャープなスタイリングや、大げさなスポイラーやグラフィックなどキャッチーな要素によるミスマッチ感に、ギャップ萌え的な魅力が詰まっている。
ボディを回転させる専用ラックを駆使したいわゆるロテサリーレストレーション車とあって、シャシーは新車以上にクリーンな状態を確保。
工場出荷時のマーキングまで再現する徹底っぷり!
ホイールはマッスルカーでは定番的なマグナムタイプを基調としながらも、スポーク部にカーブを取入れた純正のビュイックラリー。タイヤは定番のBFGラジアルTA(F:235/60-15、R:27560-15。
絶妙なカーブを取入れたコンソールのデザインなど、シボレーよりもリッチかつ手の込んだビュイックらしさを感じる。
AMYメーターパネルは、スクエアなベゼルを4連装するビュイックの伝統的なデザインが盛り込まれている。航空機のスロットルATシフターは、“horseshoe”(馬蹄)の愛称でお馴染みの、当時のGM車を象徴するファクター。
独自設計の455エンジンに対して、圧縮比やバルブサイズなどをアップグレードしたパフォーマンスパッケージである “Stage1”仕様。組み合わさるミッションは、ヘビーデューティなTH400。そのポテンシャルをはじめ、エンジンルームでもファクトリーオリジナルを全面的に押し出したディテーリングも素晴らしい。
Special Thanks◆S & S
Location◆富山県高岡市野村1674-3
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Photo◆Hiroshi Nose Report◆Hideki Ishibashi
アメ車マガジン 2018年1月号掲載