2018年モデルで次世代JLへ 最新技術を搭載したオフロード王 ジープラングラー
American Cars Best20 Jeep WRANGLER(ジープラングラー) 1944y-
Jeep WRANGLER(ジープラングラー) 1944y-
唯一無二の存在は強い。 ジープ・ラングラー はまさにそんな存在である。他にも似たようなことができるクルマはあるが、ここまでのレベルで実現できるものはない。 ラングラー でしか行けない場所がある限り、人は ラングラー を選ぶのだ。
第二次世界大戦において、アメリカを含む連合国陸軍の足として存分に活躍した軍用車両 「ジープ」 。それを製作したのはもともと民間の自動車メーカーだったので、戦後にはそれを市販して儲けようというのは当然の流れ。それが技術の進歩に応じて有用なメカニズムや装備を追加しながら今にいたるまで続いてきたのが ラングラー である。
ジープと言えばこの形と言えるスタイルを頑固に守ってきた結果、今も誰もが ジープ だと認識できる姿を保っている。 その姿は単なる形ではなく、機能的に意味のあるものであるのがポイントだ。たとえばグランドクリアランス。カタログ上の最低地上高はタイヤサイズにもよるが約10インチ(約25㎝)。
タイヤサイズによるということはデフの下端までの高さということだから、実際のキャビンまでを考えればもっと高いはずだ。子どもなら喜んでよじ登るかもしれないが、年配の人を乗せる介護車両としては圧倒的に向いてないことになる。 しかしだからこそ人は ラングラー を選ぶ。
このグランドクリアランスがないと進めない道があったとしたら、 ラングラー 以外のクルマに乗っている人はそこで立ち往生することになるのだ。 そのような機能の積み重ねによって、今の ラングラー のスタイルは造り上げられてきた。そしてそれは、 ラングラー を造る人たちの思想が変わらない限り、次の世代へと受け継がれていくのである。 さて、今また新たな世代の ラングラー がデビューした。
これまでの
JK
に代わって
JL
と命名された新型ラングラーのハイライトは、新たに設定された2.0?直4DOHCターボエンジンと、こちらも新たに設定された8ATである。これらの組み合わせによる燃費はまだ公表されていないが、これまでの実績からかなりの数値が期待できるだろう。また、ドア、ヒンジ、フード、フェンダー、窓枠がアルミ合金製になって軽量化されており、これも燃費向上に貢献するはずだ。
燃費のことを先に書いたが、この2?エンジンは最高出力こそ3.5LV6に譲るが、最大トルクはV6よりも太く、しかも発生回転数も低い。実はこの2Lエンジンは全車にオプション扱いだが、こちらを選ぶのが正解ではないかというのが近年のターボエンジンの実績から言えるだろう。
実際の走りについては乗ってみるまで分からないが、現時点でアメリカ本国のウェブメディアにはインプレッションが掲載され始めており、どれも好意的に書かれている。 今後の展開だが、すでに明らかにされていることとして、 JL の発売後もしばらくは JK が併売されること、 JL には2019年モデルで3.0?ディーゼルエンジンが追加されることが言われている。
また、 JL の製造は2017年中に開始され、2018年の早い時期にディーラーの店頭に並ぶ見込みだ。それからもうひとつ、 ラングラー をベースとしたピックアップトラックの計画も今回の JL には含まれており、2019年中に製造開始、2020年には発売開始となるのではないかと言われている。
好調な販売を続けた JKシリーズ のおかげで、儲かるラングラーには今までより多くの開発費が投入されたはずだ。それを考えても、 JL は大いに進化した ラングラー であることが期待される。
2018 Jeep Wrangler Unlimited Sahara Specifications | |
全長 | 4785㎜ |
全幅 | 1875㎜ |
全高 | 1868.4㎜ |
ホイールベース | 3008㎜ |
トレッド | 前 1598㎜/後 1598㎜ |
重量 | 1987kg |
エンジンタイプ | 直4DOHCターボ |
総排気量 | 2.0? |
内径×行程 | 84.0㎜× 90.0㎜ |
圧縮比 | 10.0 : 1 |
最高出力 | 270hp/ 5250rpm |
最大トルク | 40.8kg-m / 3000rpm |
燃料供給装置 | 電子式燃料噴射(筒内直接噴射) |
変速機 | 8AT |
サスペンション前 | リジッド・コイルスプリング |
サスペンション後 | リジッド・コイルスプリング |
ブレーキ前 | ベンチレーテッドディスク |
ブレーキ後 | ディスク |
タイヤサイズ前 | P255/70R18 |
タイヤサイズ後 | P255/70R18 |
Willys MB
これは市販車ではなく、実際に軍用車両として使われたもの。フロントグリルは7スロットではなく、9本のスロットがあるのが分かるだろう。実はこのようにフロントグリルを一枚板をプレスして作るアイデアはフォードによるものだったと言われている。
CJ-2A
上のような軍用車両を民間に市販するために造られた初期のモデル。グリルが7スロットになっている以外に見て分かる違いはあまりないが、テールゲートがあること、ワイパーが自動式なこと、給油口にキャップがあることなどの違いがあるのだという。
CJ-7
今も現存するCJとして目にする機会のあるCJ-7。ただ、オリジナルそのままの車両は基本的に無く、何かしら手が加えられているものばかりだ。写真のゴールデンイーグルやレネゲードなどスペシャルバージョンが用意され、人気を集めた。
YJ 1986-95
1970年からジープブランドの運営を進めてきたAMCによって開発されたが、YJの発売と前後して、AMCはジープごとクライスラーに吸収される。このYJだけが角目ヘッドランプを採用しているところにAMCの進取の気性が見えるようだ。
TJ 1996-2006
サスペンションにコイルスプリングを採用して一部ファンからブーイングを受けたのがこのTJだった。しかし結果的に乗り心地は向上し、オフロードでもよく動く足を実現しやすいなどのメリットが明確になると評価は総じて好意的なものになった。
JK 2006-
現在のラングラーの地位を確立したとも言えるのがJK。その原動力となったのは4ドアボディを採用したアンリミテッドの存在だった。オフロード一辺倒ではないユーザー層の獲得に成功したからだった。
ジープ誕生のいきさつは戦争中の軍内部のことであり、さまざまな物語が語られているが、ミリタリーの専門家に任せる。 ジープを市販したのは、軍用車両を提供したウイリスだったが、寡占化が進みつつあったアメリカ国内の自動車メーカーとしては弱小だった。
しかしジープしかなかったウイリスでは、帰還兵を相手にした軍用車もどきの販売に満足することなく、次々にジープのバリエーションを増やしていった。1945年の終戦と同時にCJ2Aを発売すると、1946年にはオールスチールボディを持ったステーションワゴンおよびセダンデリバリーを、翌1947年にはピックアップトラックを、そして1948年にはジープスターを、それぞれ発売した。
ステーションワゴンでは7人乗りを実現、このステーションワゴンおよびセダンデリバリーは当初は後輪駆動のみだったが1949年には四輪駆動も追加された。ジープスターは2ドアのツーリングカーで、1949年には6気筒エンジンも選べるようになった。
一方、MB直系のCJシリーズも1949年にはフロントウインドーが1枚ガラスとなったCJ‐3Aが登場、さらに1953年にはCJ‐3Bへと進化する。しかし経営基盤の脆弱だったウイリスはカイザーに買収され、そのカイザーもAMCに吸収されてしまう。さらのそのAMCもクライスラー傘下に収まって現在に至る。しかし今や、ジープはクライスラーの欠かせない柱となった。
超ド級スーパーラングラー
ロックセクションでも高速で駆け抜けることが可能な、スーパーマシンというコンセプトのもとで造り上げられたこのデモカー。足回りはアトラス4トランスファや、カーリーの前後ホーシングの装着。サスペンションリンクも独自の設計で製作。とにかくおびただしい数の改造は実車を見ていただくしかない。
http://www.gotch.co.jp
ハードロック・スタイル
ベースはアンリミテッド・ルビコン・ハードロック。希少な特別仕様車に対して、KING のコイルオーバーショックを強化ブラケットを介して取り付け、ホーシングも強化済み。足回りはニットー・マッドグラップラー40 × 15.5R22 & XD827ロックスターⅢ 22×12J。あとはこのアメリカンスタイルを楽しんでほしい。
http://www.tigerauto.com
https://www.jeep.com
■Text|アメ車MAGAZINE
アメ車マガジン 2018年 3月号掲載
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