クライスラー300のラグジュアリーセダンとクライスラーの歴史を語る!
クライスラーブランドが誇るフラッグシップモデルであり、高級乗用車の「クライスラー300」。アメ車ファンを見魅了し続けるそのデザインと機能の歴史を新旧交えて、ご紹介していこう。
Text & Photos|アメ車MAGAZINE編集部
American Cars Best20
この記事で紹介するクライスラーの車両情報
車種:クライスラー300
CHRYSLER 300(クライスラー300)とは?
クライスラー300 2005y-
ダイムラー・クライスラー最大の成果と言える先代モデルの成功から、よりラグジュアリー度を高めた現行モデルへとスイッチしたクライスラー300。
クルマとしての完成度も一段と高まった現行モデルだが、日本への正規輸入モデルは在庫限りで販売終了となる。
衝撃的なクライスラーの合併
1998年の、クライスラー・コーポレーションとダイムラー・ベンツAGとの合併は、世界の自動車業界にとって衝撃的な事件だった。
果たして「合併のメリットはあるのか」などとも言われたが、そうしてできたダイムラー・クライスラーによる最初の成果としてデビューしたのが2005年モデルのクライスラー300だった。
クライスラー300からモデリングされた兄弟車たち
300は、W211メルセデスベンツEクラスのコンポーネンツによるLXプラットフォームを使用しており、このLXシャシーはステーションワゴンの300Cツーリングやその兄弟車であるダッジ・マグナム、4ドアセダンとして復活。
ダッジ・チャージャーでも使われ、さらにLXの派生版であるLCプラットフォームはダッジ・チャレンジャーにも使用されている。
ラグジュアリーに進化するクライスラーモデリング
さて、大ヒットモデルとなった300の現行モデルは2011年からの第二世代だ。
スタイリングは先代モデルのディテールを受け継いで後継モデルであることが分かりやすいデザインではあるものの、全体としての印象は大幅にマイルドなものとなっており、先代ほどのアグレッシブなイメージはなくなった。
全長も先代より長くなり、大人のためのフルサイズセダンとも言うべき仕上がりとなったのである。その印象はインテリアを見るとより強く感じられる。
各パーツの素材から見直すことで先代モデルの硬質なプラスチック感覚は極力排除され、視覚的にも触覚的にもラグジュアリーセダンとして脱皮したことが感じられるものだ。
エンジンもグレードアップ
走りの面でもそれは同様で、標準エンジンが250hpの3.5ℓV6から292hpの3.6ℓV6へと変更されて余裕が出たことに加え、当初は5速だったATが2012年から8速へとアップグレードされたことにより緻密な変速制御が可能となり、乗り味も燃費も向上させることに成功した。
この8ATと3.6ℓV6エンジンの相性は抜群で、タコメーターを見ていないと変速していることに気付かないほど、アクセル操作と加速反応はリニアでスムーズなもので、遮音性の高いキャビンは快適そのものだ。
まさにラグジュアリーセダンである。
北米でのバリエーションは、現行モデルのデビューから拡大されている。
当時との比較
当初は3.6ℓV8搭載の300と300リミテッド、5.7ℓV8搭載の300C(RWD&AWD)、6.4ℓV8HEMI搭載のSRT8が基本だったが、2012年モデルからV6の300SおよびV8の300ラグジュアリーが、2015年には300Cプラチナムが、それぞれ加わった。
一方でSRT8は2014年までで北米での販売は打ち切られたが、限定車として300Sアロイ・エディション、300モータウン・エディション、300Sグレイシア・エディション、ジョン・バルベイトス・エディションが投入されてきた。
2018年の最新北米モデル
最新の2018年北米モデルのラインナップは、292hpの3.6ℓV6エンジンを搭載する300ツーリング、300ツーリングL、300リミテッド、それから300hpの3.6ℓV6エンジンを搭載する300S(以上にはすべてRWDとAWDが用意される)、さらに363hpの5.7ℓV8エンジンを搭載する300Sおよび300C(こちらはRWDのみ)となる。
クライスラー300のラインナップ
SRT8
300 Limited
300S Alloy Edition
300S AWD
300S HEMI
2017 Chrysler 300C Platinum(RWD) Specifications | |
全長 | 5044㎜ |
全幅 | 1902㎜ |
全高 | 1492㎜ |
ホイールベース | 3052㎜ |
トレッド | 前 1611㎜/後 1620㎜ |
重量 | 1820kg |
エンジンタイプ | V6 DOHC |
総排気量 | 3.6L |
内径×行程 | 96.0㎜× 83.0㎜ |
圧縮比 | 10.2 : 1 |
最高出力 | 292hp/ 6350rpm |
最大トルク | 35.9kg-m / 4800rpm |
燃料供給装置 | マルチポートインジェクション |
変速機 | 8AT |
EPA燃費 | 市街地8.0km /L/高速12.7km /L |
サスペンション前 | ショートロングアーム・コイルスプリング |
サスペンション後 | 5 リンク・コイルスプリング |
ブレーキ前 | ベンチレーテッドディスク・6ピストン |
ブレーキ後 | ベンチレーテッドディスク |
タイヤサイズ前後 | 245/45R20 |
クライスラー・300の変遷
クライスラーデザインの根幹にあるもの
「クライスラー300」という車名は、実は1950年代から存在した。
ただしそれらはマッスルカーの萌芽だったりラグジュアリークーペだったりと、現在の300とはコンセプトが異なるのでここでは触れないことにする。
下記の画像は300のもとになったと言われるコンセプトカーである。
1998年に公開されたクライスラー・クロノス
どちらも言われてみればなるほどと思える仕上がりだ。
クロノスはまだクライスラー・コーポレーション時代の作品なので当時のクライスラーデザインが残っているが、300の現行モデルを見ると、こちらからの流れが見えるのではないか。
2001年に公開されたダッジ・スーパー8・HEMI
スーパー8の方は、ダッジのクロスヘアグリルを除けば、その雰囲気はまさに初代の300。ヘッドランプのデザインを見ると、4ドアになって復活したダッジ・チャージャーにも似ている。
こうしたデザインスタディモデルを経て、ダイムラー・ベンツと合併してLXプラットフォームを獲得した末に実現したのが300だったのである。
そんな300が時代の寵児となったのはクライスラーにとって幸運なことだったと言えるだろう。
クライスラー・300 初代ワゴンモデル(2005-09)
現在の第二世代の300にはステーションワゴンが設定されていないが、初代モデルの時も北米では販売されなかった300Cツーリング。
日本への正規輸入のラインナップには含まれており、セダンモデルよりも1年半遅れの2006年7月に導入された。
日本にもステーションワゴンのファンはいるので歓迎されたが、セダンの圧倒的な人気におよぶほどではなく、またそれは世界的にも同様の傾向があったため、2009年モデルまでで生産中止となり、日本への輸入も終了した。
北米では300のステーションワゴンという位置付けでダッジ・マグナムが発売されたのだが、当時の北米はフルサイズのSUV&ピックアップトラックブームに沸いており、ステーションワゴンの需要自体が多くなかったため、マグナムは2008年モデルまでで生産終了となった。
クライスラー・300 初代セダンモデル(2005-10)
アメ車ファンに限らず、それまでヨーロッパ車にしか興味がなかったような層にも売れたのが初代の300だった。
ベントレーに似ていると言われたスタイリングデザインだけでなく、ダイムラー・クライスラー時代のベンツのシャシー設計ノウハウを存分に生かしたハンドリング性能の高さも「アメ車らしくない」と好評だった。
日本国内でも久々のアメ車ブーム到来の一翼を担い、さまざまなスタイルへのカスタマイズのベース車両としてもその存在感を発揮した。
クライスラー・300 カスタマイズモデルを紹介
LBワークス300の凄味
フロント6センチ、リア10センチにもなる超ド級のオーバーフェンダーは、愛知のショップ、リバティウォークのLBワークスによるもの。
さらにフロント&サイドのディフューザー、リアウイングを装着、エアフォースのエアサスにより「シャコタン」スタイルを実現。22インチホイールを難なく収めた。
アウトロー ダーク スタイルの魅力
E&Gフロントグリル、ヒプノティック24インチホイール、クロスマフラー、ルーフ&トランクスポイラーを装着。
エアサスで車高を下げたうえで、このカラーリング。
ヘビ革を大胆に使ったインテリアもインパクト大だ。
深みのあるブラウンはフレーク入りでさらに立体的に見える。
アメ車マガジン 2018年 3月号掲載
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