【シェビーⅡノバ】製作途中のまま10年間寝かせていた車両を1年かけて蘇生
旧車道楽とは面白いもので、長い間放置していた個体が原石の様に映ることも多々ある。手つかずのまま放置され続けた個体は、目覚めるキッカケを静かに待ちわびていたかの様に再び息吹を吹き込み、颯爽と駆け抜ける。
AMERICAN VINTAGE CAR HEAVEN -米国的旧車天国-
「パリッと仕上げて!」の依頼に期待値以上の出来で応える
1967 Chevrolet Chevy ⅡNova
ビンテージの特集となればネタの尽きないナオキモータービルド。これまでも様々なオーナーカー、そして同社の在庫車両を取材させてもらってきたが、今回紹介する67年型ノバはレアケース。72年型のC-10と、C3コンバーチブルを20年以上愛用する生粋のアメ車愛好家であるオーナーが、他店で長年眠っていたノバを購入して、それを「多少時間がかかっても構わないからパリッと仕上げて欲しい!」とナオキモータービルドへ依頼したことから始まる。
当初はバラバラ状態の不動車で、寄せ集めたパーツはあるもののすべてコンディションの良い状態とは言えず、四苦八苦。オーダーはエアコンが効いてパワステも作動して、コラムシフトを希望するものの、装着していた社外のパワステギアボックスがフロアAT用でコラムに合わない…となってステアリングギアボックスごと純正の新品パーツを取り寄せて一新。吊り下げ式のエアコンを導入してコラムシフトを生かした。そしてここからがパリッと仕上げるメニューである。
活きの良い350エンジンにTH350の3速ATをよりアグレッシブに堪能すべく、ヘダースにマフラー、そして電動ファンにアルミラジエター、特注のスチール製強化プロペラシャフトに換装してフロントブレーキをディスク化。さらにホイールはアメリカンレーシングの18インチをマウント。おまけにFRP製のカウルインダクションフードへ換装して、高速走行からベタ踏みのフル加速まで余裕で楽しめるまでにリフレッシュ。
“パリッと!”の依頼を受けたからには1年かけてここまでやり切るのもナオキモータービルドの魅力。撮影当日、ロケ地まで後ろからジミーで追いかけたのだが還暦間近のノバにアラフォーのジミーが余裕で負ける始末。
おまけに流し撮りではストレスフリーでトルクフルな加速感に圧倒された。息継ぎやモタツキのないスムーズな加速感で、ヘダースを介して心地良いV8サウンドを刻むワンオフマフラーも、カウルインダクションフードやアメリカンレーシングのトルクトラスト18インチを履いてほんのりフェンダー被りさせたフォルムに相応し過ぎて心を踊らされる。
このでき栄えに大満足したオーナーは、今後足回りの強化やブレーキの強化にも手を加えていきたいと目を輝かせる。誰も買わなければさらに10年眠り続けて、いずれ朽ち果てていたかもしれない。
そう思うと縁とタイミング、そして蘇らせるビルダーの腕。すべてはそこ次第であり、このノバはその最良といえるオーナー、そしてビルダーに巡り合って今こうして颯爽と令和の時代を駆け抜ける。人々にドラマがあるように、ビンテージアメリカンカーと呼ばれるクルマたちにも、それぞれに感慨深いドラマがあるのだ。
カッパーブラウン系のボディにFRPカウルインダクションフードがストリートな雰囲気を盛り上げる67年型ノバ。当時物のテールレンズやエンブレムがひび割れもなくクリーンな状態で残っていることも特筆物。また5スポークのトルクトラストを大口径18インチで納める辺りも実にバランスが良い。
当初305(5.0ℓ)エンジンが積まれていた個体を、状態の良い350エンジンに載せ替え。アルミヘッド、ハイカム、ビンテージエアブラケットを採用してオルタネーターにACコンプレッサーを取付。フレックスアライト電動ファンにアルミラジエターと熱対策もバッチリ!
60年代らしさを損なわない様にオートメーターでメーター周りを換装しつつも、オリジナルのオーディオやステアリングをストック。コラムシフトにヘッドレストのないベンチシートの組み合わせを見ると、やはりここはフロアATへの妥協はナンセンスだと納得する。撮影とテストドライブを兼ねてステアリングを握るナオキさんもご機嫌そのものだ(笑)。
Naoki Motor Build【ナオキモータービルド】
TEL:072-236-7300
HP:https://naoki-mb.co.jp/
PHOTO&TEXT:石井秋良
アメ車マガジン 2024年2月号掲載
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