老若男女、誰からも愛される、お店のマスコットとして活躍【アーラキッチン】
198号線(河内長野美原線)から一本離れたローカルロードに店舗を構えるアーラキッチン。田園風景に馴染む様に佇む黄色いスクールバス、そして大きなどんぐりの木は、メインストリートからでも一際目を引く!
働くアメ車ってカッコイイよね
手間暇かけて人の温もりを感じられる姿勢を貫く
1986 GMC VANDURA BLUEBIRD MICROBIRD
キッチンカーは様々な車両を用いて製作されているが、基本働くクルマであるため頑強さが必要ということでバンやトラックをベースカーに採用する割合が高いが、愛らしいキャラクターに魅了されてスクールバスを利用している人も多い。紹介する個体はジョージア州のブルーバードカンパニーで製造されたスクールバス。ベースモデルは86年型GMC・バンデューラだ。
この車体、6.2ℓディーゼルエンジンを搭載するレアなモデルで、イグニッションキーをオンにしてエンジンに火を入れた時の音が実に心地良い。フルサイズバンでもほとんど見かけないディーゼルモデルだけに、「ディーゼルにこだわって探したんですか?」と思わず伺うと、「いや、たまたま巡り合わせで見つけたスクールバスが6.2ℓのディーゼルエンジンでした」とのこと。イベント会場などへ移動する際は大排気量ディーゼル特有のワイルドなサウンドとトルク感に気分上々になりながら向かうらしく、やっぱり“運転して楽しい”って大事だなと実感したというオーナーの中尾さん。
その過程ごと楽しむ姿勢は店舗作りやメニューにも反映されており、キッチンカーで販売する主力商品の揚げピザは、生地の中にたっぷりのモッツァレラチーズを潜ませることで絶品に仕上げられている。ピザらしからぬ見た目とは裏腹に、濃厚で味わい深いと人気を博す。イタリア料理が楽しめるカジュアルな隠れ家的レストランと、ジョージア州のスクールバスが日本の田園風景に馴染むという多国籍な雰囲気も、こうした遊び心溢れるアレンジの表れだ。
また、天井の高いスクールバスの車内は大人が普通に立って作業できる広大な厨房スペースを確保できており、3人くらいのスタッフが中で作業をしていても閉塞感は皆無。大勢乗れる後部座席はキッチンスペースとなるためすべて取り去ったが、運転席&助手席に94年型までのアストロ用シート2脚を装着してフロント2名乗車を可能にする様に構造変更。シートデザインを同年代、同系色で合わせることで違和感なくフィットしている点も特筆物だ。
ちなみにこのスクールバス。元々の色は色褪せた黄色だったが、タカラ塗料を使ってDIYで刷毛塗装。面積が大き過ぎて屋根を塗る時はあり得ない体制で四苦八苦しながらも、自ら塗ることでスクールバス特有のパネルラインの素晴らしさや曲線美に惚れ惚れ。一手間、二手間かけて愛着が湧くのはスクールバスのみならず、庭の手入れや隣の実家で過ごした幼少時代から長年共に成長してきたどんぐりの木にも通じる。
何でも簡素化されてデジタルな時代だからこそ、手間暇かけて人の温もりを感じられる様な姿勢を貫きたい。アーラキッチンのスクールバスは、お店のコンセプトに相応しいマスコットである。
アメリカンな大判のPIZZAを連想しがちなスクールバスのキッチンカーからは、良い意味で期待を裏切る手頃なサイズ感の揚げピザ。中にはトマトソースとたっぷりのモッツァレラチーズを潜ませており、コンパクトなサイズ感とは裏腹にしっかりとお腹を満たしてくれる。
友人に製作してもらったアーラキッチンのロゴをモチーフにしたエンブレムに、ALABUSの文字など、アレンジを加えながら刷毛塗装で仕上げた黄色いスクールバス。ウッドステアリングやアストロ用シートの換装のほかはオリジナルをストックしており、コックピットの雰囲気はスクールバスの名残を色濃く残している。
過剰な飾り付けのないシンプルでクリーンな厨房スペース。熱がこもりがちなイメージのフードトラックだが、たくさんの窓と天井の高さ、そして何よりスクールバスならではの広々した空間は快適そのもの。即席でDIYしたカウンターテーブル越しにオーダーして、厨房で調理する姿を眺めるのも一つのエンターテイメント。スタッフやお客さんに楽しんでもらうための演出としてもスクールバスが大活躍!
各地イベント会場でマルシェに参加するアーラキッチン。数あるフードトラックやキッチンカーの中でも黄色いスクールバスは一際存在感を放つ。クルマのイベント関連のみならずローカルイベントなどにも積極的に出店しており、お客さんの層も野球少年から海外の観光客まで多種多様。
OWNER:Ryota Nakao
THANKS:CRAFT SQUARE
www.craft-square.com
ala kitchen
〒589-0001 大阪府大阪狭山市東野西2-836-3
TEL:072-349-9614
営業時間:平日11:00~16:00/17:30~22:00(Lo21:00)/土日祝11:00~22:00(Lo21:00)
“自然と調和した心から寛げるお店” をコンセプトに2020年の4月1日に開店した大阪狭山市の隠れ家的なお店「アーラキッチン ピザ イタリアン」テラス席では愛犬同伴も可能でドッグカフェとしても人気。
PHOTO&TEXT:石井秋良
アメ車マガジン 2024年1月号掲載
最新記事
2024/11/21
【シェビーバンG20】子育て世代にはミニバン !?いやフルサイズ一択でしょ!
これまでアメ車を愛用してきた者たちがアメ車から離れるタイミングで比較的多いのが、子育てが始まった時。何不自由ない広々車内に加えて維持費も安い2Lクラスの国産ミニバンへと乗り換えるのがセオリー。でもフルサイズバンって選択肢も意外とアリ!?
2024/11/20
【ビッグバーンモータース】築き上げた知識と経験が信頼の証。
創業37年。アメ車に完全にシフトして30年になる埼玉のビッグバーンモータース。創業当時から整備に力を注ぎ、その長い知識と経験を頼りにするオーナーは数多い。
2024/11/19
アメ車好きの父の密かな夢、最愛の娘とのツーショット
16年前に当時11才だった愛娘と一緒にアメマガに登場したオーナーさん。娘が大人になってアメ車に乗り、もう一度一緒にアメマガに…。そんな夢を胸に秘めていたオーナーさんの夢が遂に実現。
2024/11/18
どんな車種でも装着するだけで、気ままなクルマ旅が楽しめる!【OVERLAND SPEC OUTDOORS ROOF TOP TENT】
オーストラリアに端を発し、アメリカや日本を初め、世界各地でユーザーが増加しつつある「オーバーランドスタイル」。様々なアメ車を販売するスカイオートでは、OSO製品を各種取り扱い中だ。