正しいトラックの使い方とは 何たるかを地で行くスタイル!【1977y シボレーC-10】

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アメマガ2023年8月号

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C10

希少価値は年々高まり、コンディションの良い個体は高値で取引されるシボレー・C-10。しかしそんな情勢には目もくれず、モデルイヤー相応に、むしろちょっと老けて見えるくらいヤレた77年型のC-10を軽トラ感覚で乗りこなすスターキーズハンバーガー店主の日常に密着。

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ベッドに傷は当たり前トラックだから気にしない

'77 CHEVROLET C-10

アメ車が集う大阪の名物スポットとしてメジャーなスターキーズバーガー。天保山ICを降りてすぐの大阪港近郊から始まり、現在は堺市の漁港「とれとれ市」の一画で週末のみ営業というスタイルながら、毎週日曜日にはアメ車が続々と訪れて賑わう名所だ。その店主たーくんが足として愛用しているのが紹介する77年型のC-10。過去にフルサイズバン企画で登場したフロントにエアサスを導入したシェビーバンはファミリーカーとして活躍する傍らで、こちらのトラックはフードやドリンクの仕入れはもちろん、アメ車ミーティングやショップ訪問の足、直近では店舗リニューアルで使用する廃材の運搬にも大活躍。

まさに軽トラ感覚で何でも積んでどこへでも行くスタンスがリアリティに溢れる。トラックはトラックらしく。磨いてレストアしてエアサスで着地させてという個体を多数取材してきた筆者はちょっと感覚がマヒすると言うか、あまりにリアルなラット具合に、アメ車仲間からは「走ってる最中に車体がバラバラになるんちゃう?」なんてブラックジョークも飛び交い、極め付けは朽ち果てたリアフェンダーアーチを一斗缶で継ぎ接ぎするなど、もうやりたい放題。話を聞くと“一生モノの愛車!”として手塩にかけて育んで行くよりは、歳相応に潔く、もはや錆や朽ち果てた状態すら味があると割り切って乗ることに意義があると考える方が正解だ。

撮影当日はちょうどブルーリバーが屋内保管バックヤードとして契約した倉庫で出た廃材を引き取るタイミングだったこともあり、どうやって店舗のあるとれとれ市まで運ぶのか拝見させてもらったが、ゲートを木材が擦ろうが屋根にボコッと木材の角が当たろうがお構いなし。細部まで磨き上げてショーカーとしてイベントに出展する車両がイケメンだとすれば、こっちはガテン系。艶は褪せて然るべき。錆の侵食もモデルイヤー相応。それで良い。むしろそれが潔ぎ良い。

ちなみにこう見えてもエンジンは絶好調で整備やメンテナンスは人一倍気を配っているそうで、キャブとヘダースを換装して細めの単管で両サイド出しのマフラーを導入。心地良いV8サウンドを轟かせ、仲間からの評価も高い。今後はハイカムを入れることも検討しているらしい。

また、見た目とは裏腹のクリーンコンディションを誇るベンチシートもポイント。本気でショーカー的な極上物に仕立て上げる気はなくとも、子供の送迎やお客さんを乗せた時に座り心地が悪いのはナンセンス。上辺だけ綺麗でコンディションの悪い個体も多いからこそ、肝となる部分はしっかりと手を加えながらサラッと乗りこなす。そしてトラックの正しい使い方を自然体でこなす。ライフスタイルに馴染むアメ車とは、まさにこのことだ。

ほか2台が78年型に対して77年型と1年先輩のC-10。グリルはおそらく76年のもの。この70年代後半から80 年にかけては同じ丸目でも形状が微妙に異なるから面白い。

フェンダーやボディアンダーはしっかりと錆が侵食しているものの致命傷的なダメージはなく、ボディ同色の深リムにリアのみホワイトレターな雰囲気も本国らしくて粋。そして何より、朽ち果てたリアフェンダー後部を一斗缶でリペアするアイデアが面白い。

錆びや艶の褪せたボンネットフードの印象から、エンジンもさぞかしお疲れの様子では? と思いきや、予想に反して整備が行き届いており、コンディション良さげ。ハイカムを入れればより一層ご機嫌になりそうな予感だ。

径の小さなステアリングと、リアゲート同様にアクセントとして取り入れたピンストライプにウッドの装飾からグレードは比較的良い個体だったことが窺えるインテリア。シートはクリーンコンディションだけど、助手席のウィンドーはロッキングプライヤーで応急処置したまんま長く愛用中。その飾り気のない雰囲気も良き!

アメ車に原付を乗せて淡路島を回るツーリングを企画した事もある彼は、常時バイク用のラダーをベッドに搭載。時間を見つけては関西近郊のツーリングスポットや林道探索にも余念がない。


PHOTO&TEXT:石井秋良
アメ車マガジン 2023年8月号掲載


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