単なるマスタングGT350じゃないRこそが本気の証

クーペ

フォード

アメマガ2023年7月号

マスタング

マスタングシェルビーGT350R

カーボックス

広島県

華麗なるフォード

一般的なショップでは二の足を踏むハイスペックのモデルすらも、堂々と入庫させてきたカーボックス。そんなショップにして、仕入れの勇気を持てず、そもそも購入のチャンスすら巡ってこなかった幻のモデルがある。それがシェルビー・GT350Rだ。

華麗なるフォード


長年夢見た“R”の称号が遂に広島の地へ

2017 FORD MUSTANG SHELBY GT350R

ダウンサイジングが叫ばれ始めていた2015年、フォードが発表したのは、世相とは真逆の「公道走行度外視」のスペシャルモデルだった。その名はフォード・マスタング・シェルビー・GT350R。ご存じのようにGT350は、過去の歴史と同じく市販車のGTグレードをベースに、公道走行を遵守して高性能型に改良がされている。対してGT350Rは、公道走行を度外視して改良。つまりは、フォードが本気でサーキット走行を目的としてフルチューンを行なったモデルの証が「R」なのだ。

当時販売は本国の特定ディーラーのみで行なわれたため、現地でも入手困難。当然ながら、日本に輸入する「タマ」なぞ、長い間存在しなかった。これまで数多くの激レアなハイスペックモデルを仕入れてきたカーボックスですら、懇意にする現地ディーラーに聞いても手に入らないと言われてきた。「そもそも日本で走らせるためにはハードルが高く、さすがに購入する勇気を持てずにはいたんですが…」と、カーボックス代表の山西さんは当時を振り返る。現在では新型のGT500も登場し、日本の道路法規もクリアする。

 

商売のことだけを考えれば、馬力も高いGT500の方がまだ売りやすい。だが、サーキット走行を楽しみ、何よりMT仕様に拘るカーボックスは、その最高峰であるGT350Rをいつの日か手に入れることを夢見ていた。

正直、発売から数年が経過したことで、中古車は探そうと思えば探せた。だが、いずれもハードな走行をしてきた手負いのモデルばかり。目指したのは、ローマイルでサーキット走行歴が無いバリもの。「そんなモデルなんて見付からない」と現地からの声は聞こえてきたが、山西さんは絶対に譲らなかった。そしてその「R」が、遂に広島の地へ辿り着く。希望通りの条件を満たして。

 

登録まで要した期間は2ヶ月。「他のショップが仕入れない理由を改めて実感しました(笑)」と言うように、これが最初で最後のRになる…。が、実はもう一台Rを手配済みというから恐れ入る。しかもRのワイドボディ。こんなことをやってしまうのは、アメリカンマッスルが本当に好きなカーボックスならではだ。

GT350から一番変化しているのは、約60kgの軽量化。専用エアロもカーボン製で、より大きくなったリアウイングもカーボン製となる。エアダクトも大型化するなど、徹底的に軽量化とダウンフォースを追及。

ホイールはバネ下重量の軽減として、市販車初となる専用カーボン製の19インチを履き、タイヤはセミレーシングタイヤのミシュラン・パイロットスポーツカップ2を組み合わせる。

アメ車のハイパフォーマンスモデルの定番であるスーパーチャージャーを敢えて搭載せず、NAに拘ったGT350Rのエンジン(GT350 共通)。GTがベースながら5.0ℓから5.2ℓに拡大し、排気量1ℓあたりの出力が100hp以上とフォード史上最もハイパフォーマンスなNAエンジンを誇る(最大出力526hp)。フェラーリなどに見られるフラットプレーンクランクシャフトを採用し、一般的な車両に搭載されているクロスプレーンクランクシャフトとは違い、8250rpmに至る高回転域まで一気に吹け上がる。

徹底した軽量化のためリアシートは設定されず2シーターとなり、細かい装飾品も排除される。オーディオや空調も標準では装備されずオプションでの追加となるが、今回のモデルにはしっかり装備されている。もちろんミッションはMT(6速)だ。


CARBOX【カーボックス】
TEL:082-815-8448
HP:http://www.bs-carbox.jp/


Photo:TAKAHARA YOSHITAKA
Text:KAZUTAKE SOMA
アメ車マガジン2023年7月号掲載


関連記事

RELATED


物静かな青年が次第に豹変、マスタングにもっと刺激が欲しい!

燃費が…維持費が…。マッスルカーに憧れを持つも、アメ車へのネガティブな思いが強く決断できずにいたオーナーさん。そんな彼が、彼女の後押しによって購入を決めるのだが、次第にアメリカンマッスルの魔力に染まり豹変していく。「音も見た目も刺激が欲しい!」

アニメを見て惚れたマスタング、今では押しも押されぬ爆速女子へ

名探偵コナンに登場したマスタングに惹かれてカーボックスを訪れたオーナーさん。一番ド派手なエレノア仕様を選び、チャレンジャー・ヘルキャットに乗る旦那様は走りで負けたくないライバルだ。

黄色のカマロには興味なし一目惚れしたのは悪役マスタング

小学生の頃に見た映画「トランスフォーマー」。誰もが黄色のカマロに夢中になる中、オーナーさんは悪役のポリスカー・マスタングに目を輝かせた。そして19才で憧れのマスタングの購入を果たすのだが、徐々に芽生えてきたのがV8サウンドとモアパワーだった。

【ウイングオート】ベース車選びからカスタムまでマスタングのすべてを託せるお店

半世紀以上にわたり世界中で愛され続けるマスタング。フォードの顔と言うよりも、アメ車を代表するクルマと言える。ウイングオートではフォードのグローバルサブディーラであるが、もっと走りを楽しめるように様々なカスタマイズにも対応する。

ノーマルだけど普通じゃない、そんな右ハンドルのマスタングあります!

「輸入車だから左ハンドルが良い!」というのは昔の話。今や欧州車の多くは右ハンドルを採用するし、日本で運転するなら間違いなく右ハンドルの方が便利。そんな乗りやすいアメ車がフォード四日市にはある。

 

最新記事


2024/11/21

【シェビーバンG20】子育て世代にはミニバン !?いやフルサイズ一択でしょ!

バン

シボレー

これまでアメ車を愛用してきた者たちがアメ車から離れるタイミングで比較的多いのが、子育てが始まった時。何不自由ない広々車内に加えて維持費も安い2Lクラスの国産ミニバンへと乗り換えるのがセオリー。でもフルサイズバンって選択肢も意外とアリ!?

2024/11/20

【ビッグバーンモータース】築き上げた知識と経験が信頼の証。

ショップ

創業37年。アメ車に完全にシフトして30年になる埼玉のビッグバーンモータース。創業当時から整備に力を注ぎ、その長い知識と経験を頼りにするオーナーは数多い。

2024/11/19

アメ車好きの父の密かな夢、最愛の娘とのツーショット

セダン

キャデラック

リンカーン

HOUSE

16年前に当時11才だった愛娘と一緒にアメマガに登場したオーナーさん。娘が大人になってアメ車に乗り、もう一度一緒にアメマガに…。そんな夢を胸に秘めていたオーナーさんの夢が遂に実現。

2024/11/18

どんな車種でも装着するだけで、気ままなクルマ旅が楽しめる!【OVERLAND SPEC OUTDOORS ROOF TOP TENT】

アウトドア

ショップ

オーストラリアに端を発し、アメリカや日本を初め、世界各地でユーザーが増加しつつある「オーバーランドスタイル」。様々なアメ車を販売するスカイオートでは、OSO製品を各種取り扱い中だ。

ランキング


2024/11/20

【ビッグバーンモータース】築き上げた知識と経験が信頼の証。

ショップ

創業37年。アメ車に完全にシフトして30年になる埼玉のビッグバーンモータース。創業当時から整備に力を注ぎ、その長い知識と経験を頼りにするオーナーは数多い。

2024/11/19

アメ車好きの父の密かな夢、最愛の娘とのツーショット

セダン

キャデラック

リンカーン

HOUSE

16年前に当時11才だった愛娘と一緒にアメマガに登場したオーナーさん。娘が大人になってアメ車に乗り、もう一度一緒にアメマガに…。そんな夢を胸に秘めていたオーナーさんの夢が遂に実現。

2018/11/22

ストリートロッドのベース車として、ダントツ人気のデュースこと32年型Ford

ビンテージ

フォード

乗って楽しむことこそが、ロッダーの流儀なだけに、コスパに優れるピックアップでフレンドリーに楽しむのがオススメ!

2018/02/07

走っているとやけにハンドルがブレる…原因はタイヤ?ホイールバランス?それともブレーキか?【REFRESH PROJECT】

メンテナンス

コラム

走行中に感じた違和感。それはハンドルのブレ。【REFRESH PROJECT】