カプリスセダンを同時に2台所有する生粋のマニア

セダン

ビンテージ

シボレー

AMERICAN VINTAGE

カプリス

アメマガ2023年4月号

カプリスクラシック

オールオート

大阪府

ダイハードを筆頭に、80年代後半から90年代初頭にかけての洋画に度々登場するカプリスセダン。スクエアなフェイス周りと重厚なクロームバンパー、そしてアメ車らしさが全身から感じ取れるフルサイズセダン特有の存在感に魅了されたオールオートの伊東さん。クルマ屋さんでありながらも、生粋のアメ車好きと知られる彼が惚れこむ、その魅力について話を伺ってきた。

AMERICAN VINTAGE


親父と観るのが日課の日曜洋画劇場で度々登場した劇中車に惚れた

'89 CHEVROLET CAPRICE CLASSIC

40代オーバーの読者からすれば、この顔のカプリスを見て日曜洋画劇場って流れがピンとくると思う。何しろその当時、劇中のカーチェイスや銃撃戦でダイナミックな走りを見せていたポリスカーのベースがこのカプリスセダンだったからだ。

 

88年に公開されたブルース・ウィルス主演のダイハードや、94年に公開されたキアヌリーブス主演のスピードを筆頭に、ポリスカーからタクシーまで町や郊外を走る名脇役車両的な存在として、そのキャラクターに魅せられた人も意外と多いはず。そんなマニアックなクルマこそ、一番心に刺さると惚れ込んだマニアなオーナーが今回紹介する伊東さん。若かりし頃に親父が大好きだった洋画を一緒に見ていたところ、主役が操るメインカーよりもソッチ系に憧れを抱いたのがカプリスセダンマニアの始まりだ。

大阪の西成区でオールオートというクルマ屋さんを経営する彼だが、商売関係なくずっと探し求め、最初に手に入れたのは創業間もない20代前半の頃で、当時ディーラー車も存在していたカプリスセダンを手に入れたものの「どうしても欲しい!」というお客さんの熱意に根負けし販売。その際に「一番高く買い取るからもし売ることがあれば声をかけて」と念を押したものの戻ってはこなかった。

 

そこから四半世紀の時が過ぎ、50代となって再びあの頃の思い出を呼び覚ますべく89年型のカプリスセダンを探すも中々巡り合えず、何とか見つけて購入した水色のカプリスはミッションが微妙で手の掛かる個体。そのドナーカーとして部品取りを探すつもりで色々とリサーチするも、モデルイヤーや個体の珍しさも相まってお目当ての代物は出てこない。

しかし、諦めかけていた矢先に沖縄限定の物件情報誌でお目当てのカプリスセダンが出ていることを知って即問い合わせた。現車確認もなく即決で購入に踏み切ったのが紹介するカプリスだ。部品取りのつもりが想像以上のクリーンコンディションだったこともあって2台揃って所有することを決意。水色の整備は東大阪市の名医ファーストの手によってミッションオーバーホールやエンジンメンテナンスを敢行。1台を部品取りにと考えていたところ、2台とも普段乗りできる快適なカプリスセダンに仕上がったところで、一台は屋内保管しながら、数カ月サイクルで水色とブラウンのどちらも堪能するのが至福の時。

 

年々コンディションの良い個体は希少となるだけに、販売車両として物件情報にアップはしているものの、本当に好きな人にしか売る気はないという癖もまた、マニアならでは。クルマ屋さんだけど売らない在庫なんて中々珍しいパターンだけど、どうしてもカプリスセダンが欲しいって方はその熱意をぶつけてみる価値はあるかもしれない。ただし手放す時は相談することが約束だ。

91年以降フルモデルチェンジを受けて丸みを帯びた雰囲気へ一新。そして80年代中盤より以前は旧車としての雰囲気を色濃く感じさせるビンテージ感満載のカプリスセダン。89年モデルはほんの10年位前まではビンテージと呼ぶにはまだ早い存在で、良くも悪くも中途半端な年代のアメ車だった。しかし30年以上の時を経た現在、立派なビンテージモデルとしてその魅力が再認識され始めている。

1980年に5.0ℓ(305)エンジンの搭載が始まり、インジェクター化された初年度モデルの89年モデル。ちなみにポリスカーは5.7ℓが搭載されて150ℓの大型燃料タンク化されているらしい。昨今のセダンの様なシャキッと感ではなく、あくまでもゆったりと大らかに走らせるフルサイズセダン的な走りは、年々希少価値が高まっておりポストビンテージの大本命だ。

ナビやバックモニターはすぐに取り外して純正に戻せる様に即席インストールとなっており、純正オーディオももちろんストック。ステアリングは25年ほど前にC-1500に装着していたバドニックで、ボスは同社スタッフがカプリス用に加工してセット。

昭和の香りがするフカフカのベンチシートはフロント&リアともに快適。2ドアクーペの方が人気でカッコいいのは承知の上だが、伊東さんは実用性重視でリアルな日常使いを考慮した4枚ドアの方が好み。

細かい部分ではあるが、スイッチ類やスカッフプレートなどのオリジナルパーツが欠品なく綺麗な状態で残っている点も特筆物。万が一劣化したり欠けたりしたとしても、こうしたパーツが本国では未だに手に入るところがアメリカンビンテージの良いところだ。


THANKS:ALL AUTO
TEL:06-6643-8877


PHOTO&TEXT:石井秋良
アメ車マガジン 2023年4月号掲載

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