ヴィンテージTシャツを運ぶクルマとして最適な“映えるVAN”【greatLAnd】
ここ最近#VANLIFEのハッシュタグと共に人気を博すフルサイズバン。なかでも80年代以前のモデルは旧車としての味が濃厚になってきており、価格も高騰中。40年近く前のUSED CARが国産ミニバンの新車よりも高いなんて現象も珍しくない。ある意味、それはプレミアの付いた貴重なヴィンテージTシャツに通じるものがある。点と点が結びつく様なクルマとオーナーのマッチングもまた、VAN LIFEの醍醐味だ。
AMERICAN VINTAGE
顧客向けにデリバリー販売も検討中
'88 GMC RALLY STX
ここ数年、フルサイズバンをトランポにしてモーターサイクルを楽しむユーザーや、室内をDIYで車中泊仕様にしてアウトドアを楽しむなど、バンライフは1つのカーカルチャーとして認知されて注目を浴びており、なかにはビジネスシーンで工具を積んで現場へ向かうワークホースとして愛用するなど本国の商用的な使い方を日本でこなす強者も珍しくなく、さらにはソッチ系のクルマたちを集めたイベントも存在するほどだ。
ヴィンテージ路線から考察する個人的なフルサイズバンの立ち位置は、主に90年代初頭までの角目4灯より以前のモデルが該当するのではといったジャッジで、角目2灯モデルの80年代は、もう旧車と呼べるレベルの代物と言って良いだろう。
撮影車両は88年型GMC・ラリーSTX。まるでジーンズの様な淡いライトブルーメタリックとリベットボタンの様なホイールは、大阪の堀江でヴィンテージTシャツを中心に古着の販売を手掛ける岩屋さんにピッタリのキャラクター。この個体はブルーリバーが在庫していた車両で本国仕入れの国内未登録車。純正然とした雰囲気で何ら装飾を加えないオリジナルボディが実に好印象。
LAに直接買い付けに向かい、貴重なヴィンテージTシャツを仕入れて販売する岩谷さんがこのラリーに惹かれたポイントは、この飾り気のないオリジナルストックな部分だったりもする。度々渡米しているアメリカ通でも、ヴィンテージなアメ車は新鮮そのもの。シートベルトを初めて締めた時は「ユルユルやん、大丈夫!?」と驚き、古いアメ車特有の癖に驚きつつも、振り子の様な構造でそれが傾くとロックするようになっていると説明を受けて面白がるなど、一般的な現代のクルマとはまるで異なる世界観にすっかり虜となった。
2022年1月に購入してからちょうど1年ほど経過したタイミングでの取材となったが、大正の姉妹店と堀江店を行き来する際の移動手段や、オフの日に家族と出掛ける足としてヘビーローテーションで活躍するラリー。三角窓の開閉や観音開きする後部座席ドアなど、どこを切り取っても癖があってカッコいい。サードシートレスのラゲッジスペースは商品を棚ごと引越しできそうなレベルで、今後はこのスペースにお客さんに似合いそうなアパレルを積み込んで出張販売を検討するなど、新しい展開も計画中。
ヴィンテージTシャツを国産ミニバンで売りに来られたら萎えてしまう。逆にアメ車で着物を売りに来られたら違和感しかない。業種に見合った最良の選択肢としてヴィンテージジーンズの様なフルサイズバンは今後、ビジネスシーンでも活躍していくことだろう。
ラリーワゴンの中でも最上級グレードのSTX はかなり珍しい個体。お店をやっているオーナーの多くはドアやリアゲート部分にお店のロゴを入れて商用車らしさを演出したくなるものだが、あえてオリジナルボディのまま装飾を加えないところも粋。
スクエア基調のダッシュパネルにアナログ針の丸いメーターがズラリと並ぶ雰囲気はまるでコックピット。フカフカのモケットシートに腰を掛けて当時物の純正ステアリングを操りつつ、三角窓から心地よい風を取り込んでゆったりと走らせるのが抜群に似合う。後部とサイド部分の死角を補うカメラ&モニターは狭い路地や人通りの多い大阪都心部を頻繁に走るアメ車必須のアイテムだ。
STXグレードとあって、チープな商用車的のインテリアとは異なるブルーモケットシートを採用。セカンドシートアームレスト部分には灰皿が設置されるなど、昭和末期の喫煙に寛大な時代の名残も味わい深い。
撮影当日にお願いしてお店から数枚ヴィンテージTシャツを持ってきてもらった。アーティストや映画のキャラクター、当時物のアニメなど様々なジャンルが存在しており、その価格差もピンキリ。ちなみにこの中で一番高額なモノは、なんと軽自動車が買えるほどの金額だったりする。
お店はオフィスビルの3 階にあり、エレベーターを降りるとそこは別世界。まるでヴィンテージTシャツの博物館の様に一点一点丁寧に展示された姿は、古着のTシャツといった概念を良い意味で裏切られた気分。古いアメ車に高いお金を出して買う気持ちが分かる読者なら、きっとこの世界観に魅了され、価値ある一点物と出会えるタイミングは、まさに運命だという気持ちが分かるはずだ。自社オリジナルブランドも展開している。
greatLAnd
大阪市西区南堀江1-25-17 相互ビル3F
TEL:06-7410-2234
営業時間/13:00-21:00
定休日/水曜日
https://greatland-osaka.com/
PHOTO&TEXT:石井秋良
アメ車マガジン 2023年4月号掲載
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