【C2コルベット】斬新で独創的なフォルムは半世紀の時を経ても色褪せない

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アメマガ2023年4月号

コルベットC2

1963年モデルから1967年までのわずか5年間のみリリースされたコルベットC2。スティングレイ(アカエイ)のサブネームが採用され、当時のアメ車とは一線を画す近未来的で独創的なボディラインは、アグレッシブな中に精巧で繊細な芸術的な印象すらもたらす。そのオリジナルの個性を可能な限り後世に残した個体がココに!

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アクセルのタッチからフィーリングまで官能的!

'66 CHEVROLET CORVETTE

当時のGMチーフデザイナーであるビル・ミッチェルを中心に、細部デザインは日系人デザイナーのラリー・シノダが深く関わったとされる第二世代のコルベット。現在でこそ、コンバーチブルよりもクーペボディが多い印象のコルベットだが、C1はコンバーチブルのみの生産で、クーペボディが加わったのは1962年にモデルチェンジしたC2が起源だ。

また、アカエイをモチーフにネーミングされたスティングレイの称号もこのモデルから採用されるなど、コルベットが革新的な進化を遂げる大きな一歩を歩み始めた変革期でもあった。中でも1965年以降のモデルは4輪ドラムブレーキから4輪ディスクブレーキに変更されるなど、当時のスポーツカーとしては最先端のブレーキシステムを導入。スチール製のラダーフレームにFRP製ボディを組み合わせた、軽量かつ強剛性を高めたコルベットの伝統手法はこの時代から既に存在しており、当時の最先端技術がいかにこのC2に詰まっているかが伺える。

現車はエンジン換装やブレーキシステムのアップデート、社外ホイールや足回りのブラッシュアップなどを加えた仕様とは一線を画すオリジナル思考。V8/5.4ℓ(327)エンジンはメンテナンスや整備が徹底され、ホーリーキャブやヘダースの追加でその極上サウンドを余すことなく堪能できる。撮影場所までは筆者自ら運転し、そのフィーリングを体感したのだが、イグニッションオンで燻ることなく一発始動。細くて大きなステアリングは操作性も上々で、アクセルを軽く踏み込むと327の魅力をより色濃くするヘダースから心地良いV8サウンドが吹け上がる。

 

不等長ダブルウィッシュボーンとコイルスプリングのフロントサスペンション、そしてトレーディングアームと横置きリーフスプリング構造の珍しいリアサスペンションのフットワークも心地良く、海岸沿いをオープンエアーでゆったりと流していると、まるで映画の中にいる様な錯覚すら覚える程に快感。もちろん幌もグッドコンディションでストックしているが、コンバーチブルのボディ造型は幌なしが粋。ドライバーもクルマのシルエットの一つとして捉えてもいいのではと思うくらい人とクルマの一体感を持つ。

自動運転の技術がいくら発達したとは言っても、人が操るからこそのクルマ道楽。そしてクルマと一対になることでリアリティに溢れる。C2に乗る時はいつも以上にお洒落して、人に見られていることを意識しながらカッコつけて乗るくらいがちょうど良い。そしてその効果がクルマ道楽のみならず、彩り豊かなライフスタイルへと誘い花を添える。真っ赤なポルシェでも赤い薔薇でもなくアカエイのC2が日常をドラマティックにしてくれることだろう。

C1とは対照的に、ヘッドライトのリトラクタブル構造も進化を遂げた代表的な部分で、閉じている時はシャープな表情ながら、瞳を開いた時の表情も美しい。デュアルのラウンドテールとアイアンの装飾、そしてマフラーエンドの造型などクラシカルな雰囲気を高めるデザインが官能的。純正ホイールはもちろん、スティングレイを初めとする当時物のエンブレムまで、綺麗な状態でストックしている点も特筆物だ。

エアクリーナーには350の記載があるが、搭載されるエンジンはオリジナルのV8/5.4ℓ(327cu.in)。ホーリーキャブ換装やヘダースによる吸排気効率向上の手を加え、A/Cは日本国内メーカーのサンデン製コンプレッサーに変更。過剰に手は加えずオリジナルの良さを残しながら弱点を克服したグッドコンディション。

他国のロードスターなどが脚光を浴びていた1960 年代初頭、アメリカ純血の本格スポーツカーのコンバーチブルモデルとしてムーブメントを巻き起こしたC2。左右対称のダッシュボードに機能美溢れるシンプルな造形のコックピット的なドライバーズシート周辺は、ドアを開けて全体像としてみることで、よりその魅力が伝わる。まるで精巧な芸術作品を走らせる様な感覚は乗り込む前からその気にさせる。


THANKS:BERNESE

TEL:059-227-6365
HP:http://bernese.co.jp/
PHOTO&TEXT:石井秋良
アメ車マガジン 2023年4月号掲載

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