高い整備力を誇るナオキモータービルドにOBSの“メカニズム” を解説してもらう
大きく分けて95年モデルまでのTBIと96年モデル以降のVORTECの2種類のエンジンが存在するOBS。ここではこの2つのエンジンの特性やメリット&デメリットなどを、開業当時からOBSを見てきたナオキモータービルドで伺ってきた。
やっぱり OBS!
OBSのメカニズム
「TBIとVORTECって結局どう違うの!?」素朴な質問をカジュアルに検証!
開業10周年を迎えたナオキモータービルド。代表の宮田氏が初めてOBSを手にしたのは開業当初のことで、VORTECエンジン搭載のC-1500レギュラーキャブだったという。このクルマをキッカケにOBSの魅力に惚れ込んでしまい、よりディープな383に積み替えられた88年型C-1500レギュラーキャブを所有することとなったそうだ。この個体はとにかくご機嫌で、踏めば踏んだだけ期待値を超えて応えてくれただけに、383に慣れ親しんだ後に350エンジン搭載の92年型C-1500に乗り変えた時は「あれ? 調子悪い!?」と勘違いした記憶が今も鮮明に残っていると言う。
しかしTBIとVORTECを比較して明確に差が出るか? と聞くと、答えは「NO!」だ。簡潔に言うとヘッドとインテークマニホールド、インジェクターの違い程度で、ヘッドより下はほとんど変わらないとので、エンジンの不具合が起きる箇所もほぼ同じ。インマニのガスケットやオイルパンからのオイル漏れ、それに水漏れなども両ユニット問わず共通した症状らしい。
強いて言えば、TBIはドロドロと昔ながらのアメ車らしい排気音で、VORTECはドロドロ感は控え目のスムーズな排気音を奏でる。ちなみに96年からVORTECに変更された本国モデルに対してメキシコ産はTBI搭載を継続していたため、97年モデルでもTBIを搭載した個体が存在する。話によると本国モデルとメキシコモデルのTBIはエンジンフィーリングが微妙に異なる様に感じるとのことで、ACドライヤーや配管に異なるパーツが組まれるなど、明らかに異なる部分もある。
ミッションはモデルイヤーやオプションにもよるがTH700R4(4L60)を筆頭に、4L60Eの4ATと5MT。454SSには3ATの設定も存在。現行モデルの様に8速や10速ATではなく、大排気量を最低限のシフトチェンジで豪快に走らせる感覚は、OBSならではの魅力だ。
また、コンピューター制御も現在ほど複雑ではないため、どちらのエンジンもチューニングパーツが豊富に出回っており、撮影車両のVORTECはインテーク、ヘダース、コンピューターの書き換えでリミッターカットを施してハイパフォーマンス化するなど、エアクリーナーやマフラー換装程度の吸排気効率向上レベルではなく、本格的にエンジンをアップデートできる点も特筆物。一方でTBIはインジェクションシステムをあえて取り去ってキャブレター化するオーナーも存在しており、多種多様な心地良いエンジンフィーリングや乗り味の追究に対して、豊富なアフターパーツを駆使して様々なアレンジができるアメ車は現行車両では存在しない。
すなわち90年代のOBSは過剰なコンピューター制御に煩わされることなく、リアルにイジって楽しめる最後のアメ車と言える。TBIもVORTECも整備やメンテナンスを怠らなければ50万kmを超えて走れる頑丈なエンジンであるとも噂されているだけに、モデルイヤーや走行距離ばかりに惑わされず、良い個体を長く愛用して次世代のアメ車オーナーへと紡いでいきたいものだ。
VORTEC
TBIと見比べてみると確かにオルタネーターの位置やコンデンサー、ラジエターファンの位置までほとんど変更がないVORTEC。不具合箇所もほぼ似た症状とのことだったが、強いて言えばデストリビューターのナット取り付け部分が経年劣化で欠けたり割れたりする個体が多いそうだ。
TBIがヘッド上にレイアウトされるのに対してVORTECのエアクリーナーはイマドキ。剥き出しタイプの吸気効率の良いエアクリーナーへ換装すれば体感できるレベルでパフォーマンスアップを計れる。
コンピューターチューニングを施してリミッターカット&ヘダースまでとなると、もはやマニアックな世界観。その気になればここまで出来てしまうのもVORTECの魅力だ。
TBI
今の20代からしてみるとドロドロサウンドは、昔ながらのアメ車らしいフィーリングで新鮮に映ると若者からも人気のTBI。エアクリーナーやマフラーの換装で、よりその音色を鮮明に楽しめる点もTBIの魅力。
エアクリーナーとスロットルバルブの間にインジェクターを搭載した、いわゆるキャブインジェクションと呼ばれるTBI。メキシコ産のTBIはACドライヤーや配管レイアウトなど本国モデルと異なる点もある。
THANKS:ナオキモータービルド
TEL:072-236-7300
https://naoki-mb.co.jp
PHOTO&TEXT:石井秋良
アメ車マガジン 2023年2月号掲載
最新記事
2024/11/21
【シェビーバンG20】子育て世代にはミニバン !?いやフルサイズ一択でしょ!
これまでアメ車を愛用してきた者たちがアメ車から離れるタイミングで比較的多いのが、子育てが始まった時。何不自由ない広々車内に加えて維持費も安い2Lクラスの国産ミニバンへと乗り換えるのがセオリー。でもフルサイズバンって選択肢も意外とアリ!?
2024/11/20
【ビッグバーンモータース】築き上げた知識と経験が信頼の証。
創業37年。アメ車に完全にシフトして30年になる埼玉のビッグバーンモータース。創業当時から整備に力を注ぎ、その長い知識と経験を頼りにするオーナーは数多い。
2024/11/19
アメ車好きの父の密かな夢、最愛の娘とのツーショット
16年前に当時11才だった愛娘と一緒にアメマガに登場したオーナーさん。娘が大人になってアメ車に乗り、もう一度一緒にアメマガに…。そんな夢を胸に秘めていたオーナーさんの夢が遂に実現。
2024/11/18
どんな車種でも装着するだけで、気ままなクルマ旅が楽しめる!【OVERLAND SPEC OUTDOORS ROOF TOP TENT】
オーストラリアに端を発し、アメリカや日本を初め、世界各地でユーザーが増加しつつある「オーバーランドスタイル」。様々なアメ車を販売するスカイオートでは、OSO製品を各種取り扱い中だ。