コレクションとしてではなく、走って楽しむマッスルカー【チャレンジャー440】
ロード&トラックのフィールドで、マッスルカー本来の魅力を自然体で楽しむスタンスがアメリカンで素敵! 限られた予算の中で安価な不動車を入手し、路上復帰からレース遊びまで、本人満足度ありきの自分のペースでチャレンジャーをフルに満喫!
アメ車を10倍楽しむ方法!
置いて飾るのではなく、走りを楽しむことこそマッスルカー乗りだ!
'70 DODGE CHALLENGER 440
1970年型ダッジ・チャレンジャーとなると細かい仕様はともかく、ビンテージマッスルを代表するコレクタブルな存在。希少でバリューの高い憧れの対象だったりする。それだけに、近年ではオリジナルを重視して美しくレストアするケースが主流。
特に日本では、カーショーに出展してもドラッグレースなどで持ち前のパフォーマンスを発揮させる人は極めて稀。アメリカでは、バリューもクオリティも超絶レベルの車両でも、レースで全開走行するのは当たり前。全開走行させることで、オリジナルとしてのポテンシャルの高さとマッスルカー本来の魅力をアピールするのだ。
価格が高騰する中で、美しくレストアするのを後回しにして、走りのポテンシャルをしっかりと確保してドラッグレースやストリートカーとして満喫する〝ラッティマッスル〟もマイナーながらも一つのスタイルとして存在している。松田さんの愛車は、ラッティというほどやれてはいないものの、ダメージやパーツの欠損もそのままだったりコスメティックは後回しにしているのが潔い。
しかし、エンジンは440マグナムを凌ぐアップグレード仕様を搭載。ストリートカーとしてドライブを楽しんだり、ドラッグレースにも自走で積極的に参加して、持ち前の高いポテンシャルをリアルに体感している。単身でもレース走行に自走で参加する松田さんのスタンスこそがアメリカ的だし、ホットロッダーとしてのスピリットが感じられてカッコ良い!
身の丈に合わせたスタンスでマッスルカーライフを満喫!
ドラッグレースの魅力を知ったことでマッスルカーへの興味が高まり、愛車として希望するようになった松田さん。スーパーストック仕様が存在するAボディのバラクーダを思案するも、国内では極めて希少。限られる予算内では見つからないまま2年ほど経過。そんな中、ジャンク状態の70年型チャレンジャーをベースに希望の仕様に仕立てる話が持ち上がり、お願いすることに。
ところが4年経っても形にならず、そのショップの運営も危うい状況に…。そこで相談を受けた筆者がフォーティーエイトの渡辺社長を紹介し、細かいことは無視してでも、とにかく乗れる状態にしてもらったのだった。完成して早々には、エンジンブローをくらったり! 新品で用意されていたクレートの440エンジンのクランクシャフトに問題があったため、改めて組み直すことになったが、さまざまな苦難の末に復活!
ストリートだけでなく、ドラッグレースにも積極的に参加するなど、マッスルカーライフをエンジョイしている。かれこれ10年が経つなか、ボディのダメージが進行したり、希望するホイールを未だに入手できていなかったりで、外観的にはツッコミどころはあるものの、440エンジンのマッシブなトルクをしっかりと堪能している。
自分の身の丈に合わせて無理なく付き合う姿勢がなんとも好感持てます。それでいてしっかりとマッスルカーならではのポテンシャルを味わっているのが素敵。
今後はドラッグレースでタイムを詰めるべく、ファイナルレシオの変更が目標。あくまでも優先順位はマッスルカーとしてのパフォーマンス向上なのだ!
フードやマフラーチップ&スプラッシュパンはR/T仕様でアレンジ。車体色は純正のB5ブルーを意識したメタリックブルー。遠目で見る限りはなかなかいい感じながら、ダメージやパーツの欠損など、ツッコミどころは多々あるがカジュアルに使用している感じがいいのだ。
ベースの70年型チャレンジャーは、スモールブロック搭載のスタンダードな仕様。元はボディは形にはなっていたものの、欠損パーツもあるジャンク状態だったため、フードなどリプロパーツを使用。エンジンはハイパフォーマンス440のクレートを用意するも、難ありでアップグレードしてリフレッシュ!
エンジンサウンドを聞いた時点で、ただものではないフィーリング!ショートストロークの440エンジンは、7ℓ超えの大排気量とは思えないレスポンスの良さがたまらない。どの回転域でもアクセル開度に応じてリッチなトルクが味わえる。ハイグリップタイヤでもストリート用では容赦なくホイールスピンする。
MOPARマッスルなら、何は無くともホイールは純正のマグナムかラリーが王道だが、入手した時点で装着していたハリケーンレーシング風のアルミ。周囲からも真っ先に突っ込まれるポイントながら10年が経過し、もはやトレードマークとなっている!?
新品で用意したクレート440エンジンに問題があり、クランクを含めて総合的にアップグレードした上で搭載。3速ATは強靭な727TF。LSDが組み込まれるリアエンドはファクトリー最大級の8.75インチ。ファイナルレシオは現在の3.23はストリートカーとしてはフレンドリーだが、よりクイックなレシオに変更を思案中。
基本的にストック状態。4連装ゲージのラリーダッシュのパッドは、71~74用ながらファクトリー製。センターコンソール装着車だったが、HURST製シフターへの変更に合わせて撤去し、貴重なパーツなのでブラケットも含めて保管。
ドラッグレースでの全開走行で440エンジンのパフォーマンスを満喫。自走参加なため、ドラッグスリックタイヤは1本はトランク、もう1本はリアに。ちなみに、タイヤは新品が理想だが、中古品ながら往年のスタイルが抜群にクールなミッキートンプソン製! 内外装のコンディション的に、こんな感じでラフに扱えて本人的には使い方にマッチしていて不満はない。走りのポテンシャルに特化しているので、エアコンの装備はなく、本人がとりわけ暑がりなだけに、夏場のドライブは控えめ…。
松田寿久さん
カー用品メーカーの営業部で開発担当。仕事での渡米も多く、20代のころにSEMAショーなどを通してアメ車の魅力を体験。ブレイザーやK1500 などのアメ車を愛車にしたりしてきた。その後ドラッグレースやマッスルカーの魅力にハマり、2007年にジャンク状態で入手した現在の愛車の70年型チャレンジャーはドラッグレースを楽しむ愛機として活躍中だ!
PHOTO & TEXT:石橋秀樹
アメ車マガジン 2023年1月号掲載
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