-アメカルにまつわるエトセトラ- #32 睡眠不足製造コンテンツ
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前回に取り上げた「ザ・ボーイズ」もそうでしたが、いま劇場映画と同等以上に注目・人気を集めているのがネットフリックスやアマゾンプライムなど動画配信サービスで製作されているドラマシリーズです。
それまでも、例えば古くは「Xファイル」や「ミレニアム」、最近でいうなら「ウォーキング・デッド」や「プリズン・ブレイク」などアメリカ製ドラマが人気となっていましたが、それらと若干異なるのが既存の地上波やケーブルテレビではなく、最初からネットワークによる世界配信を前提に潤沢な予算によって製作されていること。
例えば、今回取り上げる「ストレンジャー・シングス 未知の世界(以下ストレンジャー・シングス)」は、今年配信されたシーズン4では1話当たりの製作費が約39億だったといいますから、正に映画並み。そんな高品質なコンテンツがお茶の間で気軽に視聴できるのですからサブスクリプション様様です。中でも2016年のシーズン1公開時から絶大な人気を誇っているのが、ネットフリックスで配信されている「ストレンジャー・シングス」です。
舞台は1980年代、都市ではないが田舎というほどでもない、アメリカのホーキンスという町で起こったウイルという少年の失踪事件が発端となります。単なる事故か家出か…ということで警察も当初はあまり真剣に取り合ってくれませんが、謎の短髪少女の出現によって話は動き始めます。
腕にナンバリングされた11という数字からエル(イレブン)と呼ばれるその少女は、実は国立の研究機関で産み出された超能力者。大人からエルを保護すると共にウイルを捜索する少年たち、周囲から変人扱いされながらウイルを探し続ける母親のジョイス、そして不穏な空気を感じ取りジョイスに協力し始める警察署長のホッパーは、徐々に〝裏側の世界〟があることに気が付き始め…というのがシーズン1のあらすじ。
それほど斬新なアイデアというわけではありませんが、スピルバーグやスティーブン・キングが好みそうな少年目線によるホラーとSFのミクスチャー(それには何かが潜んでいそうな森が広がる地方都市というロケーションもプラスに働いています)と友情、そして少年たちをバックアップする少し上世代の兄や姉たちのささやかなロマンスなどがちょうどよい具合にバランスされていて飽きません。
レンタルビデオ時代であれば、借りてきたソフトが終われば一旦離脱できるのですが、配信ドラマは次々にエピソードが始まってしまうのであっという間に寝不足に。強い自制心が必須なコンテンツとなりました。
地方の事件からスタートした「ストレンジャー・シングス」ですが、シーズン3からはソ連まで絡み始め(冷戦時代なのでまだソ連です)スケールがどんどん大きくなっています。噂によると次回のシーズン5で終話とのこと。今から配信が待ちきれません。
TEXT & ILLUSTRATION : JIN HATTA
アメ車マガジン 2022年11月号掲載
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