現代的な装備を施すが独特なスタイルは堅持【スーパフォーマンスMKⅢ】
ビンテージなスポーツカーに乗りたい。でも、安全性やメンテナンスを考えたらとても…。そんな諦め掛けていた夢を叶えてくれるのが、ここで紹介するスーパフォーマンスのMKⅢだ。
唯一シェルビーが認めた、ライセンスモデルが上陸!
Superformance MKIII
近年、自動車メーカーが国を超えて協業するのは珍しくない話。例えばクライスラーは、かつてはダイムラー。現在ではフィアットと手を組んでいる。そんな日欧合作で製作されたレーシングマシンといえば、やはりキャロル・シェルビーが携わり、1962年に誕生したアメリカとイギリス合作によるACコブラを思い浮かべる人も多いだろう。その独特なスタイリングはもちろんだが、非常に軽いボディに大排気量エンジンを組み合わせたことで、圧倒的なパフォーマンスを実現している。
だが、今この車両を日本で乗ろうとしても、保安基準などが変わり新規登録はまず不可能。かろうじて継続車検であれば走行可能だが、メンテナンスや信頼性を考慮すると、簡単には手が出せるとは思えない。でも、そんな夢を抱くオーナーに手を差し伸べるのが、ウイングオート。同社はスーパフォーマンス社が製作した、キャロル・シェルビーから唯一公認されたライセンスモデルの代理店でもあり、可能な限りオリジナリティを維持しつつ、近代的な装備を施し、安全性も重視しているのがポイントと言える。
モチーフとなったのは、シェルビーコブラ427 S/Cとなる。パワーユニットは、現行マスタングに搭載されるV8・5ℓエンジン。コンピュータやミッションなどもそのまま流用することで、各種警告灯もインパネ内部にさりげなく装備されているので、現代のクルマの様な感覚で乗れると言っても過言ではない。また3点式シートベルト、ヘッドレスト、保安基準に適合したサイド出しマフラー、ハイマウントブレーキランプなど、スタイルを極力崩さずに、21世紀的にアップグレードが図られている。
確かに「本物のシェルビーコブラ427 S/Cか?」と思う人は少なからずいると思うし、マニアから見ればNOかもしれない。だがレプリカではなく、正式なライセンスを受けたモデルである。そのためキャロル・シェルビーに敬意を払っているのは、そのスタイリングをいたずらに崩していないことから見て取れる。
ステアリングやミラーなどは、名門ブランドのヘリテージパーツを標準装備しており、ほかにも様々なオプションパーツを設定。今回はDOHC・V8を搭載するが、そのラインナップには427ciのOHV・V8も用意されている。細かな部分であるが、ヘッドライトはLEDとなるが敢えて電球色を採用しており、テイストというかその佇まいは、まさに427 S/Cそのものだ。
せっかく手に入れたクルマなら、できれば気兼ねなく乗り回したいもの。車庫に飾って楽しむ方も中にはいるかも知れないが、走らせてこそ、このクルマの真価を感じ取ることができるのではないだろうか?
ヘッドライトはレンズカットタイプを採用。LEDバルブを採用しており、明るさをアップさせつつも往年のスタイルをキープ。オプションのペイントツインストライプはやはり欠かせない。ドアミラーはTEX製を標準装備としており、ボディ先端には、オプションのクイックリフトフックも追加される。ウインドーフレームなどにくすみ、劣化、シミなどは一切ない。レストアでこのクオリティを再現するのは不可能だし、もし可能でも、その費用は天文学的な数字になるだろう。
サイドマフラーは実は保安基準適合品。真横から見たスタイルを重視しつつ、ボディ側に大きなサイレンサーを備えているので、非常に落ち着いたサウンドを奏でる。
ブレーキはオプションのウィルウッド製6ポッドを装着し、強烈なストッピングパワーを実現。アラゴスタの車高調もオプションだが、これらはマストと言える装備。ハリブランドのアルミに組み合わせるタイヤはクーパータイヤのCOBRA だ。
エンジンはもっともスタンダードな、コヨーテV8・5ℓを搭載。排気量は確かに小さいが、技術の革新は明確で、427が強烈に加速するのに対し、MK Ⅲはマイルドにスピードを上げていく感じだそうだ。大きなラジエターには電動ファンも備わっており、オーバーヒート対策も万全。なお標準ではパワーが要るステアリングで、エアコンもない。軽い気持ちで乗るのではなく、むしろ本気でスポーツ走行を楽しむつもりで購入すべきクルマかも知れない。フロントノーズの奥にはオイルクーラーと、巨大なラジエターを覗かせており、非常に個性的なスタイルと言えるだろう。
メーター類など、インパネの配列はオリジナルと同じ。ステアリングはモト・リタを標準で装備。オプションとなるが、トレメックの5MTを装備。今回の車両には装備されていないが、パワーステアリングも設定される。ステアリングの左下には各種警告灯をシンプルに追加しているので、現代のクルマしか運転したことがなくても同じ感覚で運転できるだろう。アルミペダルも装備されており、ここにだけSUPERFOMANCEのロゴがあしらわれているが、スタイルを損なわない様に配慮しているのが感じ取れる。
ヘッドレストや3点式のシートベルトを装備。トランクは必要にして十分な容積を確保している。シートの表皮やステッチのカラーも変更可能で、ダイヤモンド柄もチョイスできる。まさに自分だけの仕様をオーダーできるという訳だ。
WINGAUTO【ウイングオート】
TEL:052-409-5434
HP:https://www.wingauto.co.jp
PHOTO:浅井岳男
TEXT:空野陵
アメ車マガジン 2022年10月号掲載
最新記事
2024/11/21
【シェビーバンG20】子育て世代にはミニバン !?いやフルサイズ一択でしょ!
これまでアメ車を愛用してきた者たちがアメ車から離れるタイミングで比較的多いのが、子育てが始まった時。何不自由ない広々車内に加えて維持費も安い2Lクラスの国産ミニバンへと乗り換えるのがセオリー。でもフルサイズバンって選択肢も意外とアリ!?
2024/11/20
【ビッグバーンモータース】築き上げた知識と経験が信頼の証。
創業37年。アメ車に完全にシフトして30年になる埼玉のビッグバーンモータース。創業当時から整備に力を注ぎ、その長い知識と経験を頼りにするオーナーは数多い。
2024/11/19
アメ車好きの父の密かな夢、最愛の娘とのツーショット
16年前に当時11才だった愛娘と一緒にアメマガに登場したオーナーさん。娘が大人になってアメ車に乗り、もう一度一緒にアメマガに…。そんな夢を胸に秘めていたオーナーさんの夢が遂に実現。
2024/11/18
どんな車種でも装着するだけで、気ままなクルマ旅が楽しめる!【OVERLAND SPEC OUTDOORS ROOF TOP TENT】
オーストラリアに端を発し、アメリカや日本を初め、世界各地でユーザーが増加しつつある「オーバーランドスタイル」。様々なアメ車を販売するスカイオートでは、OSO製品を各種取り扱い中だ。