-アメカルにまつわるエトセトラ- #30 コスプレと継承と アップデート

#30 コスプレと継承と アップデート
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-アメカルにまつわるエトセトラ- #30 コスプレと継承とアップデート
オンタイム勢もそうでない映画ファンもまとめて歓喜させているのが「トップガン・マーヴェリック(以下TGM)」です。今やハリウッドの看板スターであるトム・クルーズですが、彼をスターダムに押し上げたのが、1986年に大ヒットとなった前作の「トップガン(以下TG)」でした。
映画はヒットすると続編が製作されるのが常ですが、TGは30年以上の間、1本も続編が作られることはありませんでした。それは、半端な続編でTGの価値が毀損されることを嫌ったトム自身が続編製作権を買い取ってしまったため。それくらいTGを大切にしていたトムが満を持して製作した続編ですから、成功は公開前から決まっていたようなもの。そんなTGは、映画としての出来はもとより、当時の若者カルチャーに与えたインパクトは相当なものでした。
インターネットによって国外の情報もオンタイムで入手できる現代と違い、TGが公開された当時は海外のカルチャーに触れる機会というと、雑誌やTVなどのマスメディアか映画などの作品を通してという限定的なモノ。そんな時代に洋画配給収入1位となった青春アクション巨編ですから、若者が影響を受けないわけはありません。町中がフライトジャケットを着込んだ若者であふれました。その大半はナイロン製のフライトジャケットMA-1でしたが、マーヴェリック・レプリカのワッペンを配したレザー製フライトジャケットG-1も珍しくありませんでした。その上にサングラスの名品であるレイバン・アヴィエイターまで揃えると…当時はそんな言葉はなかったと思いますが、ある意味ではコスプレの走りと言ってもいいかもしれません。
そして、もう一つ欠かせないアイテムが(アイテムというには少し大きめですが…)カワサキの大型バイク「Ninja/ニンジャ」でした。今ではカワサキ製バイクの代名詞ともなっているニンジャの名称ですが、最初に使用されたのがTGで使用されているGPZ900R。当時、国内ではメーカーの自主規制により750cc以上のバイクは販売されていなかったため、多くのGPZ900Rが逆輸入されていましたが、そこにはTGの影響は少なくなかったのではと思われます。
今回のTGMでは、トムは冒頭では前作と同じニンジャに乗りながらも、任地替えになってからは最新のニンジャH2(スーパーチャージャー付のモンスターマシン)に乗り換えるあたり、継承とアップデートをうまく共存させてるなぁと嬉しく思いました。そして実はニンジャと同等以上に感激したのがヒロインの愛車。TGではポルシェ356ロードスターでしたが、TGMではナローの911に。女性にポルシェを組み合わせるとそれだけでキャラが想像できるうえ、マッシブ傾向な近代モデルでないところもまたシビれる設定。ここでも継承とアップデートが良い塩梅に演出されているのでした。
TEXT & ILLUSTRATION : JIN HATTA
アメ車マガジン 2022年 9月号掲載
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