ジェットシティの原点と展望
JET CITY【ジェットシティ】
過激に進化 -GET A THRILL- OUT OF AMERICAN SPORTS CAR
創業19年を迎えたジェットシティの原点と展望
今も昔も変わらないのはクルマを通じてオーナーと一緒に楽しむこと
世界最大のアフターマーケットの祭典であり、カスタムの最先端モデルが集まるSEMAショーへ車両出展が決まっている広島のジェットシティ。創業19年目となるジェットシティは、いかにしてここまで成長を遂げたのか。ショップの原点と今後の展望はいかに。
ジェットシティはカスタムだけじゃない!トータルでカーライフをサポート
カマロのカスタムが大きな転換期
2020年コロナの影響で中止となった世界最大のアフターパーツの祭典「SEMA ショー」は、2021年の開催が正式発表された。本国ユニバーサルエアが、日本で唯一カスタムモデルの製作を依頼したのが広島県のジェットシティで、日本を代表するカスタムビルダーの技術を随所に盛り込んだマスタングは、一年越しで遂にアメリカデビューを果たすことになる。
創業19年目を迎えたジェットシティの名は、今や日本のアメ車カスタム業界で知らない人はいない。ここまでカスタムに注目されるようになったジェットシティだが、オープン当初からアメ車カスタムに力を入れていたわけではない。
元々は欧州車の販売がメインだったが、当時大ブームが起きていたアストロやCKモデルのローライダーを知り合いが乗るようになり、そのメンテナンスやカスタムを少しずつ始めたのがアメ車の接点だ。「どれもボロボロでね(笑)。メンテナンスもされていないし、カスタムも適当な組み方で、我慢できずに手直ししてましたよ」と、当時を振り返る代表の萩原氏。
その頃は、ボロボロのアストロでさえ置けば売れる時代。だがジェットは、利益だけを追求せず、オーナーが安心して乗れるようにしっかりメンテを施したアストロなどを店鋪に並べるようになり、それが評判を呼び、多くのアメ車オーナーが訪れるようになっていく。
オープンから7年目ぐらいになると、ジェットシティはアメ車の販売・整備・カスタムにシフトして成長していくが、このスタンスのままでは何処にでもあるアメ車ショップと変わらない。
萩原氏は「ジェットシティならではの、もっと自分たちの色を出していきたい」と思うようになっていく。その一つの特色が、アメ車の中で一番好きだった3rdカマロに注目し、フルメンテナンスを施しカスタムを行なっていくことだった。カスタムは、バイクが好きでパーツをDIY製作していたこともあり、クルマにもDIYパーツを取り入れようと製作に励んだ。
ジェットシティのカマロへの注目は、カマロが5世代目にモデルチェンジしてさらにヒートアップし、徹底的に研究してカスタムに没頭。その集大成ともいえるモデルが、アメ車マガジン2018年3月号で表紙を飾った完全着地の白いカマロだ。
カマロの足回り構造上、エアサス搭載で完全着地は困難とされていたが、ジェットシティはそれを成し遂げた。「雑誌発売後はかなりの反響で、自分たちがやってきたことが間違いじゃなかったんだと思いました」。その後はカマロオーナーが全国から訪れるようになるなど、カマロ中心の「カスタムのジェット」が今日まで築き上げられていく。
カマロのカスタムをキッカケに大きく変貌したジェットだが、オープン当時から変わらないことがある。それが「オーナーとの関わり方だ」。オーナーとはクルマを売り買いするだけの関係だけではなく、「カーライフを一緒に楽しむ」ことを当たり前のように続けている。
BBQ開催は週末の恒例行事だし、ときにはスポーツ大会まで開催するなど、「ジェットに行けばなにか楽しいことがやっている」は、オーナーの共通する言葉だ。「店に集合してオーナー同士で遊びに行ったり、彼女が出来たと自慢しに来たり、ホント色んなオーナーが来ますよ。お金にはならないけどね(笑)。でも、そうやってオーナーが楽しんでいるのが素直に嬉しいし、彼らが楽しんでくれれば、それを見た周りが『面白そうだから、俺もアメ車に乗ろうかな』って思ってくれる。
僕はクルマを売る営業はしないけど、面白い遊びや場所がないか毎日探してます(笑)」。
アメリカデビューが実現し、日本を代表するカスタムショップまで成長したたジェットだが、今後目指すべきは「原点回帰」だという。「いくら最高のカスタムを作れたとしても、アメ車に乗りたい人が居なければ意味がない。だから、アメ車の裾野を広げるために、カスタムのアピールよりも、一人でも多くアメ車に興味を持って乗ってもらうべく、純粋に車両販売に力を入れていこうと思ってます。そのために、色んなイベントも検討中です」。
カスタムのトップを目指しながらも、アメ車普及に取り組むジェットシティ。萩原氏は遊んでばかり? いやいや、アメ車のこと、真剣に考えてますから!
ロアアームが干渉することで完全着地は困難とされたカマロを、ロアアーム加工、ユニバーサルエアの特注エアサスによって完全着地を実現した、ジェットシティ・デモカーの2014年型カマロ。ワイドボディ化され、レクサーニフォージドの22インチを装着。マフラーはワンオフのフェラーリサウンドマフラー。このモデルが披露されてから、ジェットシティはカスタム業界で注目を浴びるようになっていく。
SEMAショー出展のため製作していたマスタングは、アメリカに向けて出発。日本の匠の技術が満載のモデルだけに、アメリカでも大きな注目を浴びそうだ。
お客さんとはクルマの売り買いだけの付き合いではなく、長く一緒にカーライフを楽しむことを、創業から当たり前のように続けているジェットシティ。現在はコロナのため人数制限を設けているが、平時のときは来る者は拒まず、週末ともなれば多くのユーザーとBBQ開催が定番だ。
JET CITY【ジェットシティ】
所在地:広島県安芸郡海田町国信2-6-43TEL:082-820-0377 代表取締役
萩原 克弘 氏
Photo:高原義卓
Text:相馬一丈
アメ車マガジン 2021年 12月号掲載
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