-アメカルにまつわるエトセトラ- #22 「THANK YOU STAN」
#22 「THANK YOU STAN」
et cetera about AMERICAN CULTURE -アメカルにまつわるエトセトラ-
et cetera about AMERICAN CULTURE -アメカルにまつわるエトセトラ-
#22「THANK YOU STAN」
マーベル・シネマティック・ユニバース(МCU)のオープニングでは、お馴染みのBGМと共にマーベルコミックがパラパラとめくられ、次第に現れる「MARVEL STUDIOS」のロゴの中にマーベルヒーローたちが現れては消えていくのが定番です。
しかし、2019年3月に公開された「キャプテン・マーベル」ではヒーロー達の代わりに、様々な姿でМCUに登場し続けたスタン・リーの姿が走馬灯のように駆け巡り、最後には「THANK YOU STAN」の1行が。そう、前年に亡くなったマーベルコミックの祖であるスタン・リーを偲ぶトリビュートだったのです。
なるべく事前情報を耳にしないで映画館に行くことにしている私は、不意のこの演出に本編始まる前から涙腺を決壊させてしまったのでした。
1922年生まれのスタン・リーは、高校を卒業して叔父の経営するタイムリー・コミックス( 後のマーベル・コミック)に編集助手として就職しますが、その才能を早々に開花させ10代で編集長へと昇格。
アーティストのジャック・カービー(キャプテン・アメリカ、ハルク、ソー、アイアンマン、X‐メンのオリジナルメンバーなどの誕生に関わり、アメコミ界の「ザ・キング」と呼ばれる)やスティーブ・ディッコ(スパイダーマンやドクター・ストレンジ誕生に関わる)などと共にマーベル・ヒーローを作り続けました。
それまでは画一的であったヒーローキャラクターに、人間らしい悩みや葛藤を与え、物語に深みを加えたのもスタン・リーのアイデアであったといわれています。つまり、マーベルのみならず、現在に続くアメコミ・ヒーローの下地を作ったといっても過言ではないでしょう。
また、「このマンガの作者はこの人」と明言できる日本とは異なり、同じタイトルを様々なアーティストが描きつないでいくアメコミ界(だからこそ戦前に誕生したキャプテン・アメリカやスーパーマンがアップテートしながら現役で活躍し続けているわけです)では、キャラクターの版権や収益分配についての争いが尽きなかったようですが、それだけに編集者であり原作者でもあるスタン・リーは、包括的にマーベルコミックを象徴する存在となりました。
セルフプロデュースに長けていたのもスタン・リーの特徴です。МCUやX‐メンなどマーベル関連の映画にはほぼ必ずカメオ出演。事ある毎にカメラの前に姿を現し、ご機嫌よろしくスパイダーマンのウェブシュートポーズを決めた画像がたくさん残っています。
そんな彼がコラムの文末に書き添えていた言葉が「EXCELSIOR!!」(ラテン語で〝更に高く〟〝向上する〟などを意味するそうです)。「もっと面白く・素晴らしい」作品を自ら望んでいたのかなぁと勝手に想像して今でも少し熱くなるのです。
TEXT & ILLUSTRATION : JIN HATTAアメ車マガジン 2021年 12月号掲載
最新記事
2024/11/21
【シェビーバンG20】子育て世代にはミニバン !?いやフルサイズ一択でしょ!
これまでアメ車を愛用してきた者たちがアメ車から離れるタイミングで比較的多いのが、子育てが始まった時。何不自由ない広々車内に加えて維持費も安い2Lクラスの国産ミニバンへと乗り換えるのがセオリー。でもフルサイズバンって選択肢も意外とアリ!?
2024/11/20
【ビッグバーンモータース】築き上げた知識と経験が信頼の証。
創業37年。アメ車に完全にシフトして30年になる埼玉のビッグバーンモータース。創業当時から整備に力を注ぎ、その長い知識と経験を頼りにするオーナーは数多い。
2024/11/19
アメ車好きの父の密かな夢、最愛の娘とのツーショット
16年前に当時11才だった愛娘と一緒にアメマガに登場したオーナーさん。娘が大人になってアメ車に乗り、もう一度一緒にアメマガに…。そんな夢を胸に秘めていたオーナーさんの夢が遂に実現。
2024/11/18
どんな車種でも装着するだけで、気ままなクルマ旅が楽しめる!【OVERLAND SPEC OUTDOORS ROOF TOP TENT】
オーストラリアに端を発し、アメリカや日本を初め、世界各地でユーザーが増加しつつある「オーバーランドスタイル」。様々なアメ車を販売するスカイオートでは、OSO製品を各種取り扱い中だ。