RAM史上最強というよりも、もっとも凶暴なピックアップ『RAM TRX』
2021 RAM 1500 TRX
THE NEW MODEL SHOWROOM
RAM 1500 TRX
本気で猛禽類を捕食する悪魔の血筋を受け継ぐ雄羊
RAM史上最強というよりも、もっとも凶暴なピックアップ。そんな呼び名が相応しいRAM TRXが、遂に日本に上陸した!マッスルカーを中心に、様々なアメ車を取り扱うトップスピードが、撮影だけでなく公道走行にも協力してくれたので、インプレッションもお届けしよう!
大排気量化するだけでなく各部を徹底的にチューン
昨今の世界情勢の関係で日本に到着するのが遅れ、その関係で掲載も1カ月伸びてしまった。一応頭の中で「ヘルキャットと同じエンジンを搭載したRAM」と理解した上でトップスピードに向かったが、そこに居たTRXは、明らかにベースモデルとは異質な雰囲気を醸し出していた。
まずは外観から見てみるが、真っ先に目に飛び込んでくるのは、ボンネット上に設けられた大きなエアスクープ。後述するが決してダミーではなく、本気のラムエアースクープになっている。トラックマーカーというとキャビンの上というのが定番であるが、あえてここに配することでスマートさを演出。
ベースモデルとは異なる専用グリルも非常にアグレッシブで、どことなくチャージャーに似た意匠を採用している。また前後のフェンダーそのものがワイド化され、その上にさらにオーバーフェンダーも追加。ボディをワイド化する目的はスタイルの重視ではなく、トレッドを拡大し安定性の確保。
また、フロントサスのアームを長くすることができるので、その結果フロントは13インチ、リアは14インチものホイールトラベルを確保!わかりやすく言うと、フロントタイヤは約33cmも上下にストロークするので、まさにどんなところでも走れてしまう。 タイヤサイズはノーマルでありながら325/65R18。一般的な35インチタイヤよりもわずかにワイドなサイズとなっており、ノーマルでありながらオフロードでタイヤの空気圧を下げてもリム落ちしないビードロックホイールも採用。
個人的にソソられたのは、丸みを帯びたデザインでありながら前後のバンパーは金属製となっており、ダッジから「問題ないからオフロードをガンガン走ってみろよ!」と言うメッセージが込められている様に思えた。
さてスタートボタンを押し込むと、確かに聞き覚えのあるサウンドが響きだす。そこからタイヤが転がり出すと、スーパーチャージャーの甲高い音も重なり、これを聞いて気持ちが昂らない人はいないハズ。強烈な加速もさることながら、専用開発されたビルシュタインショックが衝撃を綺麗に吸収してくれるので、極めて安定感は高い。
メーカー自らが創り上げた本気のチューニングカーで、完成度やバランスも極めて高く、買ってから何も手を加える部分がないほど。唯一難点をあげるとしたら、全幅2mオーバーの巨体なので、すれ違いには少々神経を使うかもしれない。
加速と音で五感のすべてを痺れさせてくれる
フロントマスクは専用デザインを採用。バンパー本体は丸みを帯びて入るものの実は金属製で、JLランブラーのMOPAR バンパーと同様の質感。牽引フックも非常に頑丈で、オフロードで使われることを前提として作られている。ある意味、ダッジの良心を感じられる部分だ。
ワイドフェンダー+オーバーフェンダーの採用。これにより325/65R18 サイズのATタイヤを標準装備。標準車よりも2インチほどリフトアップされており、サスペンションに関しては何も手を加える必要のないクルマと言える。
フロントバンパーと同じく、リアバンパーも金属製を採用。ベッド部分にはライナー塗装が施されており「使ってくれ!」と言わんばかり。なお、運転席側のコーナーには格納式のステップを装備するが、デパーチャーアングルを悪化させない設計も秀逸と言える。
ボンネット中央のインテークや、その左右にはダクトも設けられる。マーカーをスクープに設けることで、スポーティさも演出。エンジンのエンブレムはここだけで、TRXはそれだけじゃないことを示唆する。
ボンネットを開き、いざエンジンとご対面!と思ったら、巨大なカバーが。実はカバーではなく、エアスクープから入った空気を確実にインタークーラーに道ぶくためのもの。ヘッドの色やスーパーチャージャー本体は、わずかな隙間から垣間見ることができる。
標準車よりもロングアーム化され、圧倒的なストローク量を実現。前後共リザーバータンク付きのビルシュタイン製専用ショックを採用しており、サブタンクの取り付け方も秀逸。またリアホーシングのジャダーを抑制するショックも装備する。
センターコンソールの中央には大きな液晶モニターを装備。ここで駆動状態をモニタリングできるが、実はTRXにはトラック初のローンチコントロールも装備。走行モードを切り替えるとトルクの配分だけでなく、スタビライザーを制御しロール量も制御。まさに最新の制御技術が満載されている。なお、スポーティカーによく見られる、Dタイプのステアリングも採用する。
非常にスポーティな要素を満載するTRX だが、大人5人が快適に乗れる広いキャビンの快適正はそのまま。とくに後席の足もとは広大で、体躯の大きなアメリカ人でも問題なし。前席レザーシートで、フロントは電動式を採用する。
RAMのアイデンティティと言うべき巨大なサンルーフも標準装備。快適な居住性、卓越した走行性能、心に響くエンジンサウンドと、まさに非の打ちどころがないクルマだ。
TOPSPEED.inc【トップスピード】
TEL:058-322-7547HP:https://www.garage-topspeed.com
トップスピード新店舗 住所:岐阜県本巣市温井243-5 以前から計画が進められていたのだが、トップスピードが遂に新店舗に移転。場所は旧店舗よりもやや北側となる本巣市となる。以前よりも広くなり、待望の屋内展示場も完成。定休日、電話番号や営業時間は以前と変わらない。
PHOTO:浅井岳男
TEXT:空野稜
アメ車マガジン 2021年 10月号掲載
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