ミニバン?それともCUV?いいとこ取りの優等生モデル『クライスラーパシフィカ』

ショップがイチオシするアメ車中古車を徹底試乗紹介
2008y CHRYSLER PACIFICA LIMITED
THE PICK UP TEST DRIVE
アメリカで実際に使った体験からパシフィカが日本でも使えると判断
2008y CHRYSLER PACIFICA LIMITED
アメ車のミニバンといえばアストロが代表格だが、04年に登場したクライスラー・パシフィカは、ミニバンの機能、SUVの能力を手に入れたモデルとして登場。日本ではマイナーな存在だが、ファミリーカーとして実は狙い目なモデルなのだ。
日本有数の港町である千葉県銚子市で、20年以上の歴史を誇るアメ車ショップがガレージジョーカーだ。高品質な90年代モデルを中心に「安心して乗れる」ことを基本として、消耗品の多くを交換して車両を販売することから、県外からも多くのユーザーが訪れる。
車両の他に特筆すべきは、本国アメリカとの太いパイプがあり、パーツの発送便が毎週あるところ。パーツ待ちという部分が限りなく少なく、希少なパーツも広いネットワークにより手に入れることも可能。同ショップに並ぶ90年代モデルが、驚くほどキレイな状態に仕上がっているのは、細かいパーツまで仕入れて交換しているからだ。
代表の小川氏はアメリカに定期的に足を運び、カリフォルニアを中心に仕入れで走り回る。その際に大活躍したのが、クライスラー・パシフィカだ。荷物を大量に積み込めるシート展開ができ、2列目はキャプテンシートでゆったりできる。
何より、長時間の移動も苦にならない走行性能に感銘を受けた。「日本ではマイナーな存在だが、実際に使った体験からパシフィカの良さを発信したい」。そんな思いがずっと頭にあったという小川氏。昨今は多様なモデルが売れる時代で、同ショップでも突出したモデルばかりを並べるのではなく、個性あるモデルを多く並べる。そんな中で、面白い存在がパシフィカというわけだ。
IMPRESSIONS
こうみえて255馬力、見た目以上に快速を発揮する
車両をパッと見た感じ、走りに期待を感じなかったが、いざ発進させると、まさかの加速力に驚いた。シフトにマニュアルモードがあるのに納得する。コーナーでも車体がフラフラすることなく旋回し、チープな足回りではないことが分かる。撮影車両は前輪駆動の2WD。CUVの能力を持つとカタログに記載されているが、トルクがやや低めなので、チカラのいる路面では手こずるかもしれない。とはいえ、一般的な国産ミニバンよりはパワーがあるのでキャンプなのでは活躍しそうだ。
良くも悪くもアメ車らしくないが扱いやすさは抜群
セダン以上SUV 未満を求めるユーザーは少なくない。数少ないステーションワゴンという選択肢もあるが、パシフィカというユーティリティモデルも候補に入れたい。見た目に物足りなさもあるかもしれないが、実用性は高いレベルにある。
マイナーチェンジでエンジンパワーアップ
2004年に登場したクライスラー・パシフィカ。ダイムラー・クライスラーとして、初めて共同開発したモデルだ。当時ボルボXC90が北米トラック・オブ・ザ・イヤーを受賞するなど人気を得ており、それに対抗したモデルでもある。ミニバンとSUVの特性を取り入れた仕様と題し、これまでのミニバンのイメージを一新させるコンセプトで登場したが、08年でカタログ落ちするという短命に終わり、その後「ミニバン」として2017年に復活。
こうした生い立ちから初代パシフィカは「不出来」と思われるかもしれないが、今で言うCUVの先駆けであり、ファミリー向けのモデルとして使い勝手は高い。 撮影車両は最終型の08年型リミテッド・2WD。07年にマイナーチェンジされ、エンジンは4.0L V6(255hp )へパワーアップし、優れた加速力を発揮する。
グレードはベース、ツーリング、リミテッドの3種類。リミテッドは6AT、パワーリフトゲート、シートヒーターといった快適装備が追加される。
ミニバンらしさの荷室の広さは、2・3列目のフラットシートアレンジにより確保され、ステーションワゴンよりも車内高があるため、より大きな荷物も積むことが可能。 現状ではシートに経年の汚れが見られるが、それ以外に気になる部分は見当たらない。ミニバンのようなCUVのパシフィカ、面白い存在かもしれない。
リミテッド専用でシフトノブ等がウッド仕様となる。マニュアルモード付きの6AT。バックカメラが標準装備され、その映像はメーターパネル中央に映し出される。最初は戸惑うかも?
シートはレザー&モケットのコンビで、2列目はキャプテンタイプとなる。上級グレード・リミテッドでは、1、2列目はヒートシーターとなっている。2列目上部には標準DVDモニターが設置され、サンルーフも標準装備となっている。
リミテッドはパワーリフトゲートが標準装備となる。3列目はセパレートタイプで、フラット収納が可能。ただし、3列目は大人が座るとやや窮屈な印象。2列目中央もフラットになる床面が設置される。
2004~2006年型ではエンジンは3.5L V6のみであったが、07年にマイナーチェンジされ、3.8L V6、4.0L V6の2タイプを設定する。上級グレードのリミテッドは4.0L V6。2WD(FF)とAWDの設定もある。撮影車両は2WD。ホイールは純正の19インチホイール。
SPEC
全長×全幅×全高●5041×2014×1734mm ホイールベース●2954mm エンジン●V6 排気量●4.0L 最高出力●255hp/6000rpm 最大トルク●36.6kg-m/4100rpm トランスミッション●6AT
試乗SHOP:GARAGE JOKER【ガレージジョーカー】
所在地:千葉県銚子市四日市場町238
TEL:0479-25-7740URL:https://www.garage-joker.com/
営業時間:10:00~19:00
定休日:火曜日
2020年夏にショールームを移転!雑貨も工場併設に移動しさらにパワーアップ!
高品質なアメ車販売、本国仕入れのアメリカン雑貨でお馴染みのガレージジョーカー。車両展示&雑貨販売するショールーム、鈑金塗装・整備を行なう工場に分かれていたが、昨夏にショールームを工場に集約移転してリニューアル。全体的にはまだ未完成だが、雑貨が並ぶ店内はアメ車ショップであることを忘れさせる雰囲気。販売車両は近くに新たな土地を確保し展示されている。こちらも順次手が加えられ、ジョーカーらしい雰囲気になる予定だ。
写真&文/相馬一丈
アメ車マガジン 2021年 4月号掲載
最新記事

2025/03/31
究極の高速オフロード性能とパフォーマンスを実現した「グラディエーター・モハベ」
アメリカ文化を象徴するモデルであるピックアップトラック。その系譜は脈々と受け継がれ、最新モデルの進化の度合は凄まじいなか、オートギャラリー東京にジープ・グラディエーターが入庫。しかも砂漠やダート走行に特化した「MOJAVE(モハベ)」だ。

2025/03/29
【シボレー タホ】バンに乗りたかったのが一変、SUVを選択してカスタム
アメ車に乗りたいと思うキッカケとしてはいくつかあるが、映画を見て影響を受けたという人は多い。紹介するタホのオーナーさんもそう。当初は劇中で使用されているバンにこころを奪われていたものの、SUVの良さにも惹かれてタホをセレクト。

2025/03/28
GMT400ラバーズが集う宴も2024年で10周年!【第10回全国C/K15祭り in 富士】
シボレー&GMCのC/Kシリーズの中でも、GMT400プラットフォームベースの4thジェネレーション愛好家で構成される「シェビーC/K15オールドフェイスクラブ」による、毎年恒例の全国祭りが2024年も開催された!

2025/03/26
本国ドリフトシーンのトレンドを5世代目のマスタングでアレンジ!
ドリフトシーンのトレンドホイールであるRTRを第5世代マスタングにセットアップ!ネオクラシック×ドリフトスタイルで魅せる斬新なスタイリングに迫る!