【F150モデルチェンジ】環境と機能性・期待を超える進化が到来!
電動パワートレインなど重要なアップデートがされた2021年型フォードF-150。F-150は長年アメリカでトップセラーのトラックであり、アメリカの自動車文化の定番。新型ではハイブリッド化が導入され、さらには完全なEVバージョンも計画されている。この記事では愛され続ける理由をトコトン掘り下げ!
2021 FORD F-150
AMERICAN TRUCK & SUV
2021 FORD F-150
最大のトピックは時代の流れに対応するパワートレインの電動化
アメリカで長年、販売台数不動の1位を守り続けるフォード・F150を筆頭とするFシリーズ。フォードの大黒柱であり、アメリカのピックアップトラック文化を象徴するモデルだけに、フルモデルチェンジの失敗はアメリカ自動車産業全体に及ぶ。新型F150は、時代に求められる電動化という新しいシステムを導入した。
初のハイブリッド化に加えフルEV化も見据える
F150が新たなる旅路を歩み始めている。Fシリーズのおける大きな時代の変わり目を感じる、今回のモデルチェンジだ。 技術詳細を紹介する前に、改めて、なぜF150がアメリカで絶大な人気があるのかについて触れておきたい。
不動の1位。F150の代名詞である。これまで43年間に渡り、フォード・Fシリーズはアメリカのライトトラック分野で販売台数トップという偉業を続けている。社会全体を背負うモデルである。
もともと、ピックアップトラックは商用車・商業車という「働くクルマ」であった。それが90年代中頃から、大きく3つの社会的傾向が生まれた。ひとつは、ピックアップトラックの高級志向だ。建設業などに従事する企業幹部らが、F150を自家用化する上で一般車に対するようなインテリアや乗り心地を求めるようになった。こうした流れが、建設業などとは直接関係のない、一般ユーザーの間でも広まったのが2つ目の流れ。さらに、3つ目の流れとして、女性ユーザーの増加だ。アメリカ人女性は、日本人女性に比べると、クルマをアクティブに使う傾向が強い。その中で、彼女たちは自家用車の多様性によるコスパを追い求めた結果、フルサイズピックアップトラックの存在を知った。
こうしてFシリーズを中核としたフルサイズピックアップトラックは、アメリカ社会の中で事業向けでも家庭向けでも「なくてはならないモノ」になっていった。
つまり、F150はアメリカ社会の一部として組み込まれているため、モデルチェンジすることによって人気や販売台数が大きく上下するようなことはないといえる。
逆に言えば、フォードにとってF150を筆頭とするFシリーズは、フォードという企業の売上の多くを占める主力車種という以上に、アメリカ社会に対する責任を負うような、極めて重要な企業の資産である。 そのため、F150のフルモデルチェンジに失敗は絶対に許されず、その影響はアメリカ自動車産業界の全体に及ぶ。
今回のモデルチェンジで、最も大きな話題はパワートレインの電動化である。まさに、時代の流れであり、Fシリーズに対するアメリカ社会の要請だ。
外観では、これまでのF150のラインアップとして、レギュラーキャブ、スーパーキャブ、そしてスーパークルーの3タイプだ。グレードは、XL、XLT、LAROAT、キングランチ、プレミアム、そしてリミテッドの6つである。
ドライブトレインはもちろん、FR(フロントエンジン・リア駆動)でAWDを含む。エンジンは、エタノール混合ガソリン対応のFFVとして3.3L V6(最高出力290馬力)、5.0L V8(400馬力)、3.0LパワーストロークV6(250馬力)、2.7LエコブーストV6(325馬力)、3.5Lツインターボ・エコブーストV6(400馬力)、3.0L V6ディーゼルターボ(250馬力)、そして3.5LパワーブーストフルハイブリッドV6(合算430馬力)である。
これらのなかで、近年はV8から3.5Lエコブーストへとユーザー数がシフトしている。さらに、パワーブーストが追加されたことで、F150でもハイブリッドシフトが加速しそうだ。
フォードによると「パワーブースト」のトレーラーけん引に関する耐久テストをカリフォルニア州とネバダ州の境にある高温地域のデスバレー等で実施している。ユーザーのハイブリッド車のタフな利活用に対する不安を払拭し、力強い走りを証明するデータ収集を続けている。
さら、2022年半ばに発売予定のフルEV(電気自動車)F150について、試験車両による極寒地や泥地などでの走行テストを行なっており、その模様は動画配信されている。製造拠点として施設する「ルージュセンター」の建設状況についても情報を公開している。 F150電動化時代の幕開けだ。
縦目基調でグリル部分の押し出し感がさらに強まったフロントマスク。フロントグリル部分には合計11ものオプション設定があり、多様なユーザーのニーズに対応している。また走行速度に応じてエンジン冷却と空力を考慮したアクティブ・グリルシャッターも仕様も準備した。機能的なアップグレードとしてフロントおよびリアライトのLED化が可能だ。サイドビューでは前輪から後輪まで豪快に連なる太いオーナメントが目を引く。
コネクティビティ分野で業界をリードしてきたフォード。SYNCは第四世代へと進化した。それにより、新型F-150 のダッシュボードはデジタル化のイメージに刷新。ダッシュボード中央の12インチディスプレイでカーナビ、オーディオ、空調等を統括的にコントロール。自動運転技術を使ったレベル2 の「コ・パイロット360」を採用。シフトレバーはセンターコンソールに格納可能で、その上にテーブルを設置することもできる。リアベッドには電源の他、定規、モバイルデバイスホルダー、カップホルダー、鉛筆ホルダーも完備する。
エンジンは3.3L V6、5.0L V8、3.0L V6 パワーストローク、2.7L V6・EcoBoost、3.5L V6・ツインターボEcoBoost、3.0L V6・ディーゼルターボ、ハイブリッドの3.5L V6・EcoBoost。フルサイズピックアップの王道である5.0?V8は根強い人気を誇る。一方で、軽量化とターボによるトルク感に魅了され3.5LエコブーストV6の雌雄率が年を追うごとに増加傾向にある。車体フロント部分の軽量化がハンドリングの良さに直結することを改めて感じているアメリカ人ユーザーが多い。また、新設のパワーブーストハイブリッドV6はエコブーストよりは重要増となるが、もちろん燃費での貢献度は高い。
TEXT/桃田健史
アメ車マガジン 2021年 2月号掲載
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