-フリースタイルで行こう- #01 ホットウィールの世界
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#01 ホットウィールの世界
今回から新連載となる「フリースタイルで行こう!」。本コーナーは、アメリカンカルチャーが大好き過ぎる男:石橋秀樹氏がリコメンドするアメリカンなモノを紹介していくというもの。記念すべき第一回は「ホットウィール」の歴史や魅力に迫っていくことにしよう!
1968年に誕生したマテル社のブランド、アメリカを代表するホットカルチャー
アメリカが好きで、クルマも好きとなれば、当然、アメ車が大好きになったりします。そして、好きの度合いが高まれば高まるほど、絶対に避けて通れないのが、「ホットウィール(HW)」なのです! 世界最大のトイメーカーであるマテルによるダイキャスト・ブランド。1968年のデビューですから、すでに半世紀以上の歴史を持つだけに、アメリカを代表するブランドでもあるのです。途中途切れた時期もありますが、国内でもデビュー当時より正規販売されているので、存在自体はおなじみですね。
でも、「実車は好きだけど、ミニカーには興味無し」なんてタイプの方も少なくない日本では、過小評価されている感じ。精密なスケールダウン・モデルならともかく、モディファイやデフォルメがされていたり、そもそも走らせて遊ぶトイなだけに、「子供向け」というイメージが先行して、ちゃんと目を向けないケースが多い感じ。
その逆に、世代も、趣味も、国籍も関係なく、正しくクルマを愛している人は、例外なくHWを評価するし、コレクションするしないに関わらず、HWに関心を寄せていたりします。そもそもHWは、女の子向けのバービー人形に対する、男の子向けのカートイとしてスタートしたのですが、そこには明確なコンセプトと、トイの枠を超えた高い志があるのです。
当時は小スケールのダイキャストといえば、イギリスはレズニー社のマッチボックスが人気。その名の通りマッチ箱に収まるサイズで、実車を真面目にミニチュア化したもの。子供達はトイとして遊んだりするけれど、ダイキャストカーは鑑賞するものというイメージ。それに対してHWは、ガンガンに走らせて遊ぶためのトイとして、独自設計のホイールやトーションバーによるサスペンション機能を搭載!しかも、アライメントを調整するガレージ型の電動テスターまでラインナップ。そして、ループ、バンク、ローラー式電動加速装置などなど、自在のレイアウトが可能な専用コースによって、アクロバットな走行が楽しめちゃうのです。そのパフォーマンスは、子供達はもちろん、大人でも興奮するリアリティと拡張性に富んでます。
モデル化されるのは、車種に関わらず、マグホイールを装着してホットロッドとしてアレンジされているのがポイント。そのコンセプトやデザインを任されたのは、実車メーカーでのキャリアを持ち、ホットロッド界のトレンドセッターでもある、巨匠ハリー・ブラッドレー大先生!この人選からも、HWが単なるダイキャストメーカーでないことが伺えます。フードからそびえ立つ8スタックのファンネル、マグホイール&レッドリボンタイヤなど、HWを象徴する装備は、当時のブラッドレー先生の愛車64年型エルカミーノのファクターがそのまま反映されたのでした。
また、HWの代表モデルとしてもお馴染みの、未来的なスタイリングが今見てもクールなデオラは、そもそも、ダッジのコンセプトカーとして、ブラッドレー先生がD100をベースに設計したもの。実車界の巨匠が本気で取り組んでいるだけに、説得力があり、実車のトレンドがダイレクトに反映されている点でも、目が離せない存在なのです!!
深すぎるHWの魅力を語るにはまるまる1冊使っても到底足りないですが、今回はデビューストーリーだけで一杯になっちゃいました(汗)
A-OK[1981]
当初はマッスルカーしか興味がなかったのですが、カスタムVANやチョッパーなど、70sのホットロッド・テイストが大好物なため、車種よりもそのスタイルありきで気に入ったモデル。ところが、このA-OKを通して、モデルAのセダンデリバリーが実車で一番欲しいストリートロッドになったのでした。オモチャ感がありながらも、かなりリアルなのが魅力的なのです!
Gremlin Grinder[1975]
不人気のコンパクトカー、グレムリンに、スーパーチャージャーで武装したHEMI を搭載したギャップ萌えなアプローチがらまりません!74年のグリーンの初版に対する75年のクローム仕様。HW40周年記念で再販された。
Deora[1968]
HWの生みの親、H・ブラッドレー自身がデザインしたダッジD100のコンセクトカー。HWを象徴するモデルとしてトリビュートしたデオラII は、実車も製作されたり、最近デオラIIIがリリースされた。
Dairy Delivery[1998]
ベース車は牛乳配達車両としてお馴染みのディブコ。ドラッグマシン的アプローチで独自にアレンジしたプロポーションが抜群にクール!! これを機に実車の人気が上がった!
100% Hot Wheels Reggie's Cars 4 Car Set[1999]
スケールモデルとしての精巧な作りが魅力の100%シリーズは、それまでスルーしていた国内のアダルトコレクターがHWファンになるきっかけとなった。
Japan Historics 2-Nissan Laurel 2000 sgx[2018]
アメリカでの国産旧車の人気が高まる中、アメリカでは販売されなかった車種も注目されるように!そんな流れで、まさかのローレル、まさかの“ シャコタン” スタイル!
Hot Seat[1999]
60年代のショーロッドを連想させる、おふざけ系ながらも、理に適ったデザインは流石!ショッピングカートやラジオフライヤーなど、同類も多数あって楽しい!
'65 Dodge Coronet A/FX[2009]
ドラッグストリップデーモン・シリーズにラインナップされたコロネットのアルタードホイールベース車。実車のドラッグレース史を学べるほど、様々な有名車がモデル化されてます。
Mongoose and Snake Drag Race Set[1993]
スケールモデルとしての精巧な作りが魅力の100%シリーズは、それまでスルーしていた国内のアダルトコレクターがHWファンになるきっかけとなった。
Hot Wheels Car Culture Team Transport Porsche 356A Outlaw VW Transporter T1 Pickup[1999]
小スケールのダイキャストでは近年リリースラッシュが続くほど人気んとなっている積載車系! テーマに合うオリジナリティーの高いデザインがHWの魅力。
単なるミニカーの枠を超越した文化としてのHW
ロッド&カスタムなどのアメリカならではのモーターカルチャーをはじめ、アメリカから見たクルマの全てが凝縮されている世界最大のダイキャストブランドがホットウィール(HW)だ。子供向けのTOYと侮るなかれ、そもそもHWは、有能な実車カーデザイナーであるハリー・ブラッドレーをデザイナーに迎え入れ、実車でのトレンドとシンクロしたアプローチで製品化している!それだけに、真のモーターファンこそ、HWの魅力の深さにハマるのだ。単なるミニチュアモデルの枠を超えて、オリジナルでデザインされるモデルの中には、後に実写化されるケースもあり、その他の人気車種をベースにしたHWモデルに盛り込まれたトレンドを、実車で再現されることもある。そして、専用のコースで走らせて遊ぶというスタイルこそ、HWの一番の楽しさであり、他のブランドには無いオリジナリティなのだ。ルックスだけでなく、走りのポテンシャルも含めて、しっかりと設計されているのがポイント。とにもかくにも、アメリカを語る上で、HWは絶対に外せないほど、底なしの魅力があるのだ!!
正規輸入が途絶えていた99年、当時は高円寺で古着屋の片隅でアメリカで買い付けたHWを扱っておりまして、ファッション誌の別冊でHWを紹介する上で、ちょっとした縁からそのページを自分に担当することに。それがきっかけで、HW大図鑑の製作に発展! 自分自身が欲しくなるような、資料としての情報と、HWのカッコ良さが詰まった楽しい図鑑を目指してビジュアルにもこだわりました。本国のファンや、HWデザイナー陣からも高く評価されまして、01年の大図鑑IIでは、本家のデザインセンターを訪れて、デザイナー達の取材ができて、一ファンとして最高の経験となりました。
アメ車のことを知れば知るほどHWの魅力にハマった!
愛車としてマッスルカーを乗り継ぐほど魅力にハマる中、スワップミートで70年代のHWのデッドストックが投げ売りされていたので、マッスルカー以外も含めてまとめて購入。それを機に、HWの魅力を再確認したのが90年代中期。正規輸入も無く、マイナーな存在でしたが、見れば見るほど、実車のことを知れば知るほどHWが魅力的に思えて、完全にファンになり、HWありきで渡米していたりしてました!
★石橋秀樹
アメリカンホビーショップ「ホットワイヤー」の店主であり、フリーペーパー「イグナイト」の編集人、そしてアメ車マガジンでもライターを行なうなど、アメリカンカルチャーに関する偉人(変人)である。人生は肩ひじはらずに「フリースタイル」なのが信条。
アメ車マガジン 2020年 5月号掲載
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