東海カーズのマッスルカーを、華やかに彩る「和テイスト」のデザインワーク

ラッピング&ペイント

和テイスト

アメマガリコメンドアーティスト

アメマガリコメンド

遊鷹

アメマガ2020年3月号

AMEMAG RECOMMEND ARTIST
遊鷹-Yutaka-


_N6I1215 のコピー

AMEMAG RECOMMEND ARTIST
遊鷹-Yutaka-

ワイルドなアメ車に「和テイスト」な絵柄、一見アンバランスだが絶妙にシンクロする

サビサビで所々穴も空いているけど、サーキットを走らせればめっぽう速い。そんな走れるラットとして名を馳せている、東海カーズのカマロ。ある時からボンネットに「和テイスト」の鷹が描かれているが、それを手がけたのは今回紹介する「遊鷹」さんだ。


元々絵が好きで、飲食店の看板やTシャツのデザインなど、様々なグラフィックデザインを手がける遊鷹(ゆたか)さん。東海カーズとの出会いはまだ1年半ほどで、以前本誌でも紹介したことのあるガレージデッカーで個展を開催したことがそもそもの始まり。その独特なタッチにカーズの細井さんは一気にホレこみ「ウチのクルマに描いてよ!」と頼み込んだ。今だから遊鷹さんは語るが「ワンポイント的なものはあったけど、ボンネット一面というサイズはこれまで未経験。やったことがなかったし、正直ものすごいプレッシャーでしたね」とその時のことを振り返る。


遊鷹さんの作品の数々を見てみると、基本的に手描きのタッチを感じられるものばかり。通常の作業工程を伺うと「基本的にはパソコンを使い、デザインを徹底的に煮詰めます。最終的にトレーシングペーパーにラフを描き、カーボンなどで転写し着色を施しますが…カーズの車両は言わばぶっつけ本番というか、ライブペイントですね」と語る。

_N6I1227

そう語る遊鷹さんに対しカーズの細井さんは「その時のインスピレーションでやらないと、面白くないじゃない! ある意味これはセッションだよね!」とのこと。依頼内容も非常に簡潔(過ぎるほど)で「鷹がぶわぁ?って舞うようにしたいよね」との一言だけ。遊鷹さんがどうカッコよく仕上げようかと思案したのは言うまでもない。


ちなみに遊鷹さんのお絵描きシリーズはその後も増殖しており、69カマロ、72ファイヤーバード、82コルベットを依頼。今回の取材時は69カマロのボンネットを滝に見立て、そこを鯉が登っていくイラストを製作中だった。赤いボディカラーとマッチしており、さらに桜吹雪が舞うようなデザインは、これぞアメリカと日本のカルチャーが融合したと言える。「初めてアメリカに行った時に空気感の違いに衝撃を受け、それ以来アメリカンテイストのイラストを手がけていました。でも、日本に居ながら描いても、結局マネでしかない。そんな時に出会ったのが、ミニカーのマッチボックスなどのイラストでした。また昔のビールなど、レトロな看板も好きで、そこから現在のタッチが誕生したと言えますね」とのこと。


お気に入りの愛車にオンリーワンのイラストを施すことは、非常に大胆な行為。だが遊鷹さんの手に掛かれば、そのクルマの魅力をより一層引き立ててくれるはずだ。これぞ、究極のカスタマイズと言えよう。

_N6I1390

今回は、1969年型カマロにペイントを施している最中に取材を実施。鯉が滝を登るデザインとなっておりさらに桜が舞い散る。東海カーズの細井さんのリクエストは「昇って行けますように」の一言で、その願いを見事に叶えるような作品となっている。

_N6I1218

遊鷹さんが使用するのは、ワンショットのエナメル塗料。ピンストライプなどでも使用されるもので、USブランドのものを使用。その時の気温によって塗料の伸びなどが変わるのでうすめ液で調整するが、ある意味同じ物は2 つと存在しない。

_N6I1282

その68カマロに新たに追加されたのが、このイラスト。見ての通り旭日旗っぽさを醸し出すが、太陽の部分に細井さんの名前があしらわれる。またハスの花も細井さんのオーダーで「平和的なものがいいよね」とのこと。

_N6I1240

遊鷹&東海カーズの初セッションが、この68年型カマロ。コンセプトは「空を飛ぶように走りたい」とのことで、鷹の翼がボンネットを超え、フェンダーにまで掛かっているのがポイントと言えるだろう。

_N6I5299

本来、1972年型にはフードに「ファイヤーバード」は描かれないが、だからこそ遊鷹スタイルのファイヤーバードを依頼。このようなスタイルになる。

_N6I1236 _N6I1291

70年型カマロにあしらわれるのは、孔雀。幸せと富を感じられるようにというコンセプトで、オレンジと迷ったそうだが敢えてゴールドをチョイス。ルーフやクォーター部分のデザインは、逆にアメリカ人には真似できないものとなっている。

_N6I1274

グリーンメタリックのやれたボディに、敢えてブラックだけで描かれた和製ファイヤーパターン。ラインが入っただけではあるが、これだけで全く別のクルマに見えてくる。これぞ、遊鷹マジックと言っても過言ではないだろう。

_N6I1336 _N6I1349

遊鷹さんが手がけるマテリアルは、実に様々。木材や金属など、ありとあらゆるものに描き、新しい価値観を見出す。ちなみにレトロな雰囲気を醸し出すために、敢えて完成したイラストをサンドペーパーなどで削ることもあるそうだ。

_N6I1376

遊鷹(ゆたか)さん 埼玉県出身。幼少期の頃から絵を描いたり創作活動をすることが好きで、自分の体に色を塗りたくったり(今でいうボディペイント)カーテンをハサミで切り刻んでいたとか。元々アメリカンカルチャーやトラディショナルタトゥに興味があったが、10年ほど前に現在のアーティスト名「遊鷹」に変更。以来、和テイストのデザインを数多く手がける。これまでの作品や遊鷹さんにアクセスしたい方は、インスタグラムまでアクセスされたし。


Special Thanks:東海カーズ

TEL:0533-86-8890


Photo:浅井岳男
Text:空野 稜
アメ車マガジン 2020年 3月号掲載


関連記事

RELATED


オートギャラリー東京が手掛けたカマロSSはショーカー。圧倒的な存在感の高さが魅力的な1台。

「魅せる」ことにとにかくこだわって全面武装

フォードのセダンピックアップ「ランチェロ」という選択 フォードランチェロ【フォードライブクロスフィールド】

セダンピックアップにおいて、シボレー・エルカミーノと人気を二分するのが、フォード・ランチェロ。日本国内ではエルカミーノの人気・注目度が高く、ランチェロはレアな1台でもある。

アメ車らしさを現代に甦らせるオリジナルボディペイント GMCサバーバン【ピットインアクツ】

ボディメイクには様々な「見せ方」があるが、往年のアメ車ならではの手段として、80年代当時に存在した、今となっては斬新に見えるボディペイントを再現することもそのひとつだ。紹介するサバーバンも、当時の姿へ甦った!

ニュースタイルローライダー シボレーカマロ /カスタムは実用性重視!シボレーK1500【グレイスキャブ】

11年型シボレーカマロをベースにしてローライダーテイストを注入。/96年型シボレーK1500、見た目も重要だが、一番の優先順位は実用性。

大胆にピンクを取り入れ厳つさを消し去る!フォードマスタングGT500E【ジェットシティ】

マスタング乗りの憧れであるエレノア仕様に変更しながら、そのゴリゴリのスタイルをあえて消し去るピンクをボディ各所に注入。こんな斬新なやり方は、とっても個性的だし何より面白い

 

最新記事


2024/11/21

【シェビーバンG20】子育て世代にはミニバン !?いやフルサイズ一択でしょ!

バン

シボレー

これまでアメ車を愛用してきた者たちがアメ車から離れるタイミングで比較的多いのが、子育てが始まった時。何不自由ない広々車内に加えて維持費も安い2Lクラスの国産ミニバンへと乗り換えるのがセオリー。でもフルサイズバンって選択肢も意外とアリ!?

2024/11/20

【ビッグバーンモータース】築き上げた知識と経験が信頼の証。

ショップ

創業37年。アメ車に完全にシフトして30年になる埼玉のビッグバーンモータース。創業当時から整備に力を注ぎ、その長い知識と経験を頼りにするオーナーは数多い。

2024/11/19

アメ車好きの父の密かな夢、最愛の娘とのツーショット

セダン

キャデラック

リンカーン

HOUSE

16年前に当時11才だった愛娘と一緒にアメマガに登場したオーナーさん。娘が大人になってアメ車に乗り、もう一度一緒にアメマガに…。そんな夢を胸に秘めていたオーナーさんの夢が遂に実現。

2024/11/18

どんな車種でも装着するだけで、気ままなクルマ旅が楽しめる!【OVERLAND SPEC OUTDOORS ROOF TOP TENT】

アウトドア

ショップ

オーストラリアに端を発し、アメリカや日本を初め、世界各地でユーザーが増加しつつある「オーバーランドスタイル」。様々なアメ車を販売するスカイオートでは、OSO製品を各種取り扱い中だ。

ランキング


2024/11/20

【ビッグバーンモータース】築き上げた知識と経験が信頼の証。

ショップ

創業37年。アメ車に完全にシフトして30年になる埼玉のビッグバーンモータース。創業当時から整備に力を注ぎ、その長い知識と経験を頼りにするオーナーは数多い。

2024/11/19

アメ車好きの父の密かな夢、最愛の娘とのツーショット

セダン

キャデラック

リンカーン

HOUSE

16年前に当時11才だった愛娘と一緒にアメマガに登場したオーナーさん。娘が大人になってアメ車に乗り、もう一度一緒にアメマガに…。そんな夢を胸に秘めていたオーナーさんの夢が遂に実現。

2018/11/22

ストリートロッドのベース車として、ダントツ人気のデュースこと32年型Ford

ビンテージ

フォード

乗って楽しむことこそが、ロッダーの流儀なだけに、コスパに優れるピックアップでフレンドリーに楽しむのがオススメ!

2018/02/07

走っているとやけにハンドルがブレる…原因はタイヤ?ホイールバランス?それともブレーキか?【REFRESH PROJECT】

メンテナンス

コラム

走行中に感じた違和感。それはハンドルのブレ。【REFRESH PROJECT】