マスタングに“SUV”が加わる! フルEVのMach-E
FORD MUSTANG Mach-E
伝統と進化に挑む MASTANG INNOVATION
FORD MUSTANG Mach-E
マスタングの名を冠することに抵抗を持つ人もいる?
2019年11月17日、噂になっていたマスタングSUVの全貌が公開された。4ドアSUVのフルEV(電気自動車)で、名前をマスタングMach-Eと名付けられ、2020年後半以降に発売が開始される予定だ。
マスタングの伝統はEVでも残される
マスタングが未来に向けた一歩を踏み出した。マスタングの名前を冠した4ドアSUVのフルEV(電気自動車)モデル、その名も「マスタング Mach-E」がデビュー。同時に予約サイトもオープンしている。2021年モデルとされており、発売・納車時期は、「プレミアム」と限定車の「ファーストエディション」が2020年後半、スタンダードモデルの「セレクト」と上級モデルの「カリフォルニア・ルート1」が2021年初頭、ハイパフォーマンスグレードの「GT」は2021年春とされている。
これまで、フォードのSUVラインナップにはスポーティなシルエットを持ったものはあったものの、世界的に増加傾向のいわゆるSUVクーペはなかった。今回の「マスタング Mach-E」はマスタングのイメージを踏襲したSUVとして、SUVクーペとしてのスタイリングを持った初めてのラインナップとなった。
マスタングの名前を冠した「マスタングファミリー」の一員として、外観のディテールにはマスタングファンなら誰でも分かるデザインが盛り込まれている。フルEVの「Mach-E」には本来フロントグリルは不要だが、マスタングのヘキサゴングリルと同様のデザインが施されており、切れ長のヘッドランプユニットデザインとともにマスタングに似た顔付きになっている。
ボディサイドのキャラクターラインやリアのブリスターフェンダーもマスタングと共通のディテールであり、フォードの他のSUVには見られないものとなっている。さらに決定的なのはリアの3連テールランプで、これはマスタングの初代(1964年)モデルからの伝統的デザインだ。
さて、「マスタング Mach-E」はマスタングの名前こそ付いているが、マスタングの基本設計を流用したものではなく、フルEV向けに新たに設計されたプラットフォームを採用している。エンジンを搭載せず、一番の重量物であるバッテリーは車両の中央、すなわち前後の車軸の間に配置されている。そしてマスタングのドライビングの楽しさを実現し、なおかつSUVとして5人乗りの室内空間と荷室を最大化することに成功したという。
搭載されるバッテリーは2種類設定する。75.7kWhのスタンダードレンジ(SR)バッテリーと、98.8kWhのエクステンドレンジ(ER)バッテリーだ。SRバッテリーをFR(後輪駆動)モデルに搭載した場合、満充電での航続距離は推定値で370km、最高出力255hp、最大トルク42.3kg-m。同バッテリーをAWDモデル(全輪駆動)に搭載した場合は、満充電での航続距離は337.9km、最高出力255hp、最大トルク57.6kg-m。同様にERバッテリーとFRでは航続距離482.7km、最高出力282hp、最大トルク42.3kg-mとなり、ERバッテリーとAWDでは航続距離434.4km、最高出力332hp、最大トルク57.6kg-m。ただし、最上級グレードのGTだけは、ER+AWDだが航続距離は378.1km、最高出力459hp、最大トルク84.6kg-mとなる。
次世代SYNCを搭載しドライバーの情報を管理
インテリア、特にダッシュボードのデザインについては、「Mach-E」も現在のマスタングと同様に左右対称デザインを採用している。フルEVにはそもそもタコメーターやシフトレバーが不要なのでそれらはないが、「Mach-E」のダッシュボードで特徴的なのは次世代「SYNC」を操作する15.5インチモニターがダッシュボード中央に置かれていること。操作方法の基本はスマホやタブレットと同じ。カーナビゲーションを核として運転中に必要となるさまざまな情報やオーディオ&ビデオコンテンツを管理できる。
「Mach-E」搭載のSYNCが次世代と呼ばれるのは、ドライバーの好みや習慣を記憶し、それらに合わせてさまざまな提案をしてくれるところにある。たとえば毎週月曜日に会社帰りにジムに行くのを習慣としているドライバーに対しては、曜日と時刻に合わせて自動的にジムに行く設定にナビをセットすることを促すなど。
また次世代SYNCは、「Mach-E」に搭載される車両制御システムのアップデータを無線通信経由でダウンロード&インストールする機能も持っている。
また、ドライバーが自分のスマホを持って車両に近づくと自動的にドアロックが解除され、そのまま発進までできる「Phone As A Key」が、フォード車として初めて搭載された。スマホのバッテリーが切れた際には、ダッシュボードのモニターでバックアップコードを入力すればエンジン始動、発進ができる。
気になる日本での走行は現実的ではない?
フルEVを愛車にするうえで最大の懸念は、自分の行動範囲に十分な充電スタンドがあるかどうかだ。フォードでは、自宅に充電設備を設置するに当たってのさまざまな解決策を用意するほか、全米で1万2500ヶ所の充電ステーションを整備する。
ERバッテリー+FRの場合、急速充電器で10分充電すると75.6kmの走行が可能となる。SRバッテリーの場合、急速充電器で10%から80%まで充電するのに必要な時間は38分ほどとなる。またフォードでは、全米の2100ディーラーでフルEVの整備を可能とし、3500人のEV整備士を用意するという。
こうして見てくると、フォードの正規ディーラーがなくなってしまった日本国内で今すぐ「マスタング Mach-E」に乗るというのは、あまり現実的ではないと言えるだろう。しかしながら今後数十年という期間を考えれば、内燃機関によって走る自動車が減っていく方向にあるのは間違いなく、日本国内でもフォード車向けに限らずEVのためのインフラを整備せざるを得ない時がくるのではないか。
マスタングファミリーの一員として、外観のディテールにはマスタングのデザインが盛り込まれる。通常フルEVには本来フロントグリルは不要だが、ヘキサゴングリルと同様のデザインが施されており、切れ長のヘッドランプユニットデザインとともにマスタングに似た顔付きになっている。リアの3連テールランプは、マスタングの初代モデルからの伝統的デザインだ。
フルEVにはそもそもタコメーターやシフトレバーが不要。特徴的なのは、カーナビゲーションを核として運転中にさまざまな情報やオーディオ&ビデオコンテンツを管理できる、次世代「SYNC」を操作する15.5インチモニターがダッシュボード中央に置かれていること。操作方法の基本はスマホやタブレットと同じだ。
設定されるバッテリーは、75.7kWhのスタンダードレンジ(SR)と、98.8kWhのエクステンドレンジ(ER)の2種類。満充電で、設定モデルにより航続距離337.9~ 482.7km。ER+FRモデルで急速充電10分で75.6kmの走行が可能という。
解説:桃田健史(モータージャーナリスト)
アメ車マガジン 2020年 2月号掲載
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