憧れの地、ボンネビルにチャレンジした一人の日本人がいた

クーペ

ダッジ

チャレンジャー

アメマガ2020年2月号

Bonneville Speed Week 2019

Bonneville Speed Week 2019
@Bonneville Salt Flats Wendover,Utah
2019 August 15~19


CHALLENGING REPORT
Bonneville Speed Week 2019
@Bonneville Salt Flats Wendover,Utah
2019 August 15~19

ホットロッダーにとっての聖地「ボンネビル・スピードトライアル」は、アスリートにとってのオリンピック級に匹敵するほどの名誉ある重要な大会!そこにまた一人、日本から参戦を果たした真のホットロッダーがいる!

ロッダーにとってのロマン、ボンネビル・ソルトフラッツ

ユタ州の北西部にある260㎢という広大な塩湖、ボンネビル・ソルトフラッツといえば、ホットロッダーにとっては、最高スピード競技場であり、聖地ともいえる存在。いくつかの団体によって、スピードトライアルが行なわれているが、非営利団体であるSCTA(Southern California Timing Association)による8月のスピードウィークは、アスリートにとってのオリンピックといえるほど重要な大会。小型のバイクから、車輪の付いた巨大なロケットのようなストリームライナーまで、ありとあらゆるスタイルのマシンが参加する。

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最速記録では時速600マイル(966km/h)と尋常ではない領域のマシンも存在するが、ストリートロッダーにとっての目標は、時速200マイル(321km/h)を達成して、『200マイルクラブ』に名を刻むこと。最新のスーパーカーであれば、それだけのポテンシャルを備えているし、テストコースやサーキットであれば、実際にその速度をマークできたとしても、塩湖の上ではトラクションがかからず、路面状態も悪いなど、そう簡単には達成できないのだ。しかも、参戦する上では、安全第一をモットーとする、厳しいレギュレーションをクリアすることが第一条件。いわゆる車検をパスしない限りは参戦できないのだが、この車検がなかなかハードルが高いこともあり、何はともあれ、車検をパスして出走することができた段階で、真のホットロッダーとしてのステイタスが得られるのだ。

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仮に記録を樹立しても、賞金が出るわけでもなく、国際的な競技連盟でもなく、草レースの域でしかないのだが、スピードウィークへの参戦は、ホットロッドを愛する者にとってはロマンなのだ。

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あくまでも、日本国内の路上でHEMIパワーを満喫するつもりで入手した個体。そのため、エンジンはカムシャフトのアレンジ程度とした、いわゆるストリート426HEMI。レースHEMIでは、69年にNASCARで200mph越えを達成した実績があるだけに、『200マイルクラブ』も夢ではない! マニュアルミッションはボンネビル参戦に合わせて、ストックの4速からTKO5速にアップグレード。

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LAの工場での作業風景。工場といっても、リフトなどがあるわけでもなく単なる倉庫。レースのレギュレーションに向けたアレンジは、渡米中の約2ヶ月を費やして、なんとか完成させた。

レギュレーションに合わせたロールケージは、“ファニーカーケージ” などといわれるタフな仕様。Forty Eightの渡部氏によって全て手作業により製作された。自身の30Z参戦時にはその設計&溶接が高く評価された。

日本でストリートカーとして楽しむために入手したクルマなので、エンジンはカムシャフトのアレンジ程度の、あくまでもストリート426HEMI。平均的なV8に対して、パーツ点数が多く、パーツが高額とあって何かと大変。

ホットロッド界のオリンピックに参戦するプライド

本誌イジリー・マスタング企画マスタングスプーキーでもお世話になっている「フォーティーエイト」代表の渡部氏が、2年前にはダットサン30Zにてスピードウィーク参戦を果たしたが、今回は、フォーティーエイトのカスタマーであり、筆者の友人でもある船水氏が、1970年型チャレンジャーで参戦を果たしたのだ!

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船水氏は、ダッジのD100の特別仕様車ワーロックを所有し、自分の会社名を「ワーロック」と名付けるほどのダッジ野郎だったりする。バイクではクラシックなインディアンを愛機として、普段乗りからレース参戦までどっぷりと浸かっている。近年ではアメリカンマッスルの頂点である426HEMIへの想いが高まり、とにかくHEMIありきで販売車両を怒涛のごとくリサーチ。ところが、世界的に注目される究極の存在なだけに、美しくレストアされた高価な個体ばかりで、かなり入手が厳しかった。


そんな中、やさぐれてダメージはあるものの、中古車コンディションとして入手可能なバリューの個体に遭遇。カリフォルニアにあったため、現車確認から輸入登録までを、フォーティーエイトの渡辺氏が対応することになった。ところが、クルマがアメリカにあるうちに、「ボンネビルに参戦できたら!」 という妄想レベルの想いが盛り上がってしまった。冗談半分の話も本気度が増して、いざ参戦を決意して着工したのはレースの2ヶ月前。

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状況を知る人からしたら、到底無理と思われたが、厳しい車検をパスして、見事出走を果たしたのだ! 現地では車検対応で3日間を費やしたが、コース状況が悪く日程がずれたため、滞在日程を延長して、ショート2本、ロング1本を走ることができたのだった。ボンネビル参戦というホットロッド界のオリンピックに出場できたことは、何よりの誇り。それを成し遂げたので、チャレンジャーは輸入して、日本で路上デビューのはずだったが、規定などにより果たせなかった全開走行を達成すべく、マシンはアメリカに保管して、再度挑戦することになった!

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本来の日程には間に合わなかったのだが、コースのコンディションの影響で、レースの日程がずれたため、いざボンネビルに向けて出発。徹夜続きでお疲れ状態だが、LAからボンネビルの道のりは、ちょっとした旅でしんどい。

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何はともあれ、SCTAのクルーによる車検を受ける。これをパスしない限りは、絶対に出走できない。安全第一がもっとうで、かなり厳しいため、数年越しでクリアするというケースもある。

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車検時に指摘された点を改善すべく、現地のスタンドの片隅を利用して、夜通し作業が行なわれた。そんな日が三日間続いたが、期間中に条件付きながらも、なんとか車検をクリア。高いハードルをクリアする上での苦労は誰もが知っているので、拍手が湧いたりする感動的なシーン!!

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Forty eightの渡辺氏は、今回はHEMIチャレンジャーのサポートに徹して、自身のダットサンZでの参戦をパス。なんとか一発で参戦を成し遂げることができたチャレンジャーは、そのままアメリカに保管して、次回の参戦を企んでいる。カスタムバイクの業界では誰もが知る存在であるChabott Engineeringの木村氏は、同じチームとして多大なるサポートをしてくれた。

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ルーキーラン(初走行)の前には、スタッフからの厳しいチェック&説明を受ける。今回は175mphを超えてはならない。ドライバーの船水氏は、ちょっとやそっとでビビるタイプではないのだが、高速走行時にテールが滑って、アクセルを踏みきれなかったとのこと。


Photo ◇ Bucho
Report ◇ Hideki ishibashi
アメ車マガジン 2020年 2月号掲載


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