マスタング史上最強のBOSS 429、859台にのみ搭載された極めて希少なBOSS 9
1969 Ford Mustang Boss 429
The Golden Age 60’s-70’s 黄金期のモデルたち
ライバルのクライスラー打倒のために投入されたフォード最強の刺客
1969 Ford Mustang Boss 429
打倒クライスラーHEMIを目指して投入された、NASCARホモロゲーションによるマスタング最強のスペシャルパッケージ、“BOSS 9” こと429BOSS搭載車!出荷台数859台の激レアにして最強バージョンなだけに、そのプレミアムは最新のスーパーカー以上?!
日本ではアメ車ファンの枠を超えて高い人気を誇る第一世代マスタング。シェルビーによるレースシーンでの活躍や、劇中車を通して正統派なイメージが刷り込まれ、幅広い層に受け入れられている。とりわけ、シェルビーありきの初代ファストバックや、映画『ブリット』による68年型GTに集中しており、スタイリング、パフォーマンスの両面でも最強といえる69~70年型は、日本ではマイナーな印象。
正常進化によってマイナーチェンジされたスタイリングは、本来の持ち味を保持しながらも、現在でも通用するスタイリッシュなシルエット。マスタング におけるハイパフォーマンスの称号として後に定着する「Mach1」 が初めて投入されヒットとなったり、トランザムレースのホモロゲ仕様であるBOSS302 の存在、そして、歴代マスタングにおいて最強の存在である、「BOSS9」ことBOSS429 がラインナップされている点でも、最も重要な存在。
NASCARでの活躍でその実力の高さを証明したクライスラー426HEMIに対抗すべく導入されたBOSS429 は、ホモロゲ取得条件に則って、市販車として規定数の500機をクリアするのは、レース参戦車であるトリノやサイクロンでは厳しいため、最もメジャーなマスタング に設定することでクリアした。他の仕様にくらべ、ポテンシャルもコストも格段に高かったため、出荷台数は859台という量産車とは言いがたいほど少量。
マスタング 史上最強にして激レアな存在として、この個体のように、限りなくオリジナルを保持する個体ともなると、数千万円の値打ちがつく。映画『ジョン・ウィック』では、キアヌ・リーブス演じる伝説の殺し屋の愛機として採用され、BOSS9がいかに特別な存在であるかが映画をとしても伺え知れる。
この個体は、国内のマスタングファンが、マスタング の最強モデルとして外せない存在として、BOSS9に限定して探し当て、最近海を渡って日本に入ってきたばかり。近年では国内でもマニアックで希少なモデルが輸入されているが、69年型マスタングのBOSS429 を搭載するオリジナルの個体の存在は、聞いたこともない。並行輸入が絶頂期だった時期に、429搭載車を見たことがあるが、大幅にカスタムされており、オリジナルだったかどうかは定かでなく、そうした個体を含めても近年では見聞きしたことがなく、エンジン単体での存在を確認した程度。
最強かつ希少なユニットの代名詞とされている426HEMIは、様々なモデルに採用されていたので、入手する上で、モデルと仕様の組み合わせによっては、現実的だが、その点BOSS9の場合は、69年型で859台、2台のみ搭載されたクーガーと70年型を合算しても1400機に満たないほど少数のため、巡り会う機会が少ないうえ、価格の面でもかなり高額で入手するには、熱い想いだけでは成立しない。
この個体は、ロイヤルマルーンの車体色をはじめ、オリジナルの状態を保持するいわゆるサバイバーなのである。新車のように美しくレストアされた個体以上に、いい意味での時間の経過を感じさせつつ、ただならぬオーラを漂わせている。とりわけ大きいエンジンを搭載する上では手作業で対応が必要だったことや、ホモロゲ取得の特別仕様車とあって、試作車やGT40を構築したミシガン州ディアボーンの「Kar Kraft」が製造。そのため、VINコードでは通常のCではなく、Kとなっているのがポイント! NASCARホモロゲーション仕様によるポテンシャルや希少価値の高さはダントツなのは間違いないが、何よりも、タイヤも含めたオリジナルとしての69年型マスタングの格好良さをこの個体は放っている。
大型のフードスクープと、フェンダー部のデカールだけがBOSS 9ならではのポイント。ホモロゲ取得の特別仕様車として、5色だけでラインナップされた車体色の中でも、最も落ち着いた“ ロイヤルマルーン”。多少の小傷はあるが、オリジナルペイントを保持している。最強仕様にして控えめなルックスで、なんとも言えない大物オーラが漂う。
ホモロゲ仕様の中でも特別な存在ということもあり、インテリアはブラックのみでラインナップ。ステアリングは、ホーンボタンを持たず、リム部全体にセンサーを備える、最上級なリムブロータイプ。
リアエンドには、本来オプションの、3.91:1“トラクションロック”が未条件で採用される。マグナムホイールに組み込まれたタイヤは、純正採用のグッドイヤー・ポリグラスGT(F60-15)。当時の最高峰といえバイヤスタイヤなのが時代を物語る。
429BOSSエンジンの最高出力は375馬力。テニスボール級の巨大な吸気ポートを持つヘミヘッドは、NASCARでの全開走行を念頭とした設計ゆえに、ストリートでは発揮できない高回転域でこそ、本領を発揮する。トランスミッションは4速マニュアルのみで設定。
歴代マスタングの中で最もポピュラーなのは、「マッハ1」デビューイヤーとなった69年型
Special Thanks ◆ AGENT AUTOMOBILE
Photo ◆ Hiroshi Nose
Text ◆ Hideki Ishibashi
アメ車マガジン 2019年 12月号掲載
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