銘酒・越乃寒梅を作り上げる極意は、伝統と新しい発想を生む“遊び心”
新しい発想を生むためには、新しい感性を磨く必要がある。石本さんにとって、日本酒作りに欠かせない存在がアメ車なのだ。
ACCELERATING DODGE CHALLENGER
進化&人気が加速するチャレンジャー!
日本を代表する日本酒「越乃寒梅」。この銘酒を作り上げるのは、新潟県にある明治40年創業の石本酒造。この歴史ある酒造の代表である石本さんは、チャレンジャーヘルキャットを始め、複数のアメ車を所有する大のアメ車マニア。新しい発想を生むためには、新しい感性を磨く必要がある。石本さんにとって、日本酒作りに欠かせない存在がアメ車なのだ。
2015 CHALLENGER SRT HELLCAT OWNER/石本龍則さん
実はお酒が苦手、飲める人が羨ましい
2017年新潟で開催したアメマガキャラバンに、15年型チャレンジャーヘルキャットに乗って参加してくれた石本さん。自身のガレージに、コレクションであるマックツールズの工具が並んでいること、他に69チャージャーも所有していることで話が盛り上がったものの、職業まで聞くことはなくガレージの取材を約束。
その時は、日本を代表する酒造の社長さんとは露知らず…。後に細かい段取りを電話でしていると「ガレージだけで良いですか? 会社の方は撮影します? 一応、日本酒を作ってまして」と石本さん。新潟県の石本さん…。酒造…。石本…酒造!?あの越乃寒梅の!(実は筆者、大のお酒好きで好きなお酒の酒造名を知っていた)。
「よくご存知で。そうです石本酒造です。もしお時間があれば工場見学して、提携するお店で一杯どうですか」と、まさかのお誘い。もちろん断る理由もなく快諾したが、「私はお酒が苦手で飲めませんが(笑)」と言う、意外な石本さんの言葉に驚きつつ、電話越しであるが、何か人を引きつける懐の広さに興味が湧く。いざ、越乃寒梅へ! …いや、あくまでもヘルキャットに乗る石本さんの取材へ伺おう。
普段は一般向けに工場見学は行なっていない石本酒造だが、今回は石本さんのご厚意で特別見学。工場を案内してくれるのは、石本酒造の杜氏である竹内さん。年間を通して日本酒を造る酒造もあるが、石本酒造は新米が収穫された秋から早春までの期間だけ酒造りが行なわれている。
日本酒は木造の蔵で手作業で造るイメージがあるが、それは昔の話で、安定した品質と衛生面を考慮して、作業工程の多くは機械化されている。それでも職人の経験と技術が工程の中に随所に取り入れられているから、特別な日本酒が生まれるのだ。
「多くが機械化された日本酒造りですが、今も昔も大切にしているのが、原料と従業員の質は絶対に落とさないこと。従業員は石本酒造の大きな財産です」と語る石本さん。
刺激を与えてくれる、クルマに興味が湧く
石本さんのアメ車歴は長い。子供が増え、広いクルマの必要性を感じ、色々なクルマを物色。アメリカの音楽など、アメリカンカルチャーにハマっていた石本さんは「アメ車もいいかな」とアストロも候補に挙げていたが、故障しやすいという噂を聞き二の足を踏んでいた。
そんな中、ヤナセで働く知人がいる事を知り、そこからアメ車の情報を得て「問題ない」と判断。念願のアメ車デビューとなったアストロで、アメ車のおおらかさと、何より、大好きなアメリカンカルチャーに触れていることに酔いしれた。ここから石本さんのアメ車に対する熱は加速する。
サバーバン、300Cツーリング、チャレンジャーSRT8、ラムトラックと、次々と様々なタイプのアメ車に乗り、クルマ毎に違う面白さを体感。そして、アメ車への感性をより広げるために、ついにビンテージモデルへ挑戦することに。「メンテなど不安はありましたけど、アメ車をもっと知る上で、古いモデルも乗ってみないと分からないし、新しい刺激が得られるだろうと」。
そうして手に入れたのが、69年型チャージャーだ。ただ、一通りのレストアはされていたものの、見事なじゃじゃ馬っぷりで、機嫌も日によって違い、乗りこなすには苦労も多かった。そんなチャージャーを手なづけるのに夢中な石本さんの前に、さらなる刺激を与えるクルマが現れる。それがチャレンジャーヘルキャットだ。
トップグレードの707馬力は、自分にどんな刺激を与えてくれるのか。石本さんは、迷うことなく購入を決断する。自分の感性を広げてくれそうなものに、石本さんは躊躇することはない。「色々なものから刺激を受けることで新しい発想も生まれ、喜びも得られる。
それはお酒造りにも影響していて、アメ車に乗って感性を磨くことが、新しい発想のお酒を生む原点にもなっているんです」。ポジティブに行動する人にはよい出会いも訪れる。コレクションするマックツールズの関係者を通じて、新潟でビンテージモデルを扱う「アロウズ」を紹介され、チャージャーは劇的に復調。
「不安なく乗ることができるので、これで心置きなく旧車に乗れますね」という言葉通り、66シェベルを購入し、さらに現在は70ロードランナーも納車待ちだ。大好きなアメリカンロックを聞きながら、ハンドルを握る時間が一番の楽しみという石本さん。晩酌に並ぶ越乃寒梅を見るたびに、その光景が浮かぶ。
石本酒造の直営レストラン「きた山」にて、石本さんとアロウズ・冨樫さんを囲んで会食。豪快に日本酒を鍋に入れるしゃぶしゃぶなど、料理はすべて日本酒尽くし。
チャレンジャーSRT8を以前所有していたが、トップグレードの実力を味わうため2年前にヘルキャットに乗り換えた。ミッションはマニュアル。デーモン登場の際に一応検討はしたようだが、普段乗りには難しいということで、現在候補には挙がっていないようだ。
69チャージャー&66シェベルも所有し、70ロードランナーも納車待ち!
左)1966 CHEVROLET CHEVELLE 右)1969 DODGE CHARGER R/T
感性を高め新しい発想を得るためには、自分が楽しむことそれがお酒作りにも生かされていますね。
大好きなブルーで、全体的なフォルムに一目惚れしたという69チャージャー。ホーリーのスナイパーEF1を装着してインジェクションに変更するなど、アロウズによって劇的に調子が向上。エアコンも装備し快適なドライブを楽しめる仕様になった。
モパーをメインに乗ってきた石本さんだが、一転して66シェベルを購入。これは、下で紹介するアロウズ・冨樫さんの影響でもある。454のビッグブロックを搭載。これを仕上げることが、今の石本さんの楽しみでもある。
石本さんのビンテージ所有を加速させた重要人物
69チャージャーで苦労が多かった石本さんだが、安心してビンテージライフを送れるようになったのが、新潟県にあるビンテージカーショップ「アロウズ」の冨樫さんと出会ってから。「最新パーツやクルマの知識が豊富で、本当に頼りになる存在。冨樫さんがいるから、クルマのコレクションが増えていきますね(笑)」と石本さんは語る。
ALAWS
所在地:新潟県新潟市東区津島屋7-148
tel.025-250-7391
https://alaws.jimdo.com
ガレージにはMAC TOOLSや NASCARのコレクションアイテムが並ぶ
2台が並べられるガレージにはチャージャーとシェベルが並び、長年コレクションしてきたマックツールズの工具が専用スツールに並べられている。「自分ではメンテしないので使ったことはないですが」と、工具はあくまでもコレクション。加えて大のナスカーファンで、実際の車両のパーツなどのお宝も並ぶ。夢は実車を手に入れること。
石本酒造 越乃寒梅
日本有数の酒どころである新潟県。その新潟で、明治40年から銘酒「越乃寒梅」を作り続ける石本酒造。越乃寒梅は「料理を引き立てる酒」を追求し、米本来の旨さを感じさせるサラリとした飲み口が長年愛され続けてきた。最近では、より飲み口を柔らかく滑らかな味わいにした純米吟醸「灑(サイ」が大きな反響を得ている。
撮影◆古閑章郎 原稿◆相馬一丈
アメ車マガジン 2018年 8月号掲載
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